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2008.3.19(水)更新  サンプラザ中野くん/ロックに 3rd LOVE
デビュー決まらず悶々
 武道館でも浴衣だった。サンプラザ中野くんだー!

 81年、第12回世界歌謡祭。世界中からミュージシャンがやってきた。司会は坂本九さんとジュディ・オングさん。俺(おれ)たちスーパースランプは31日に出場した。ゲストはチャゲ&飛鳥さん。

 LMC(ライトミュージックコンテスト)で無冠だった。なぜ世界歌謡祭に選ばれたのか不思議だった。聞けば、ヤマハの川上社長(当時)が「尻の穴が痒(かゆ)いー!」という絶唱をいたく気に入ったのだそうだ。さすが、気鋭の経営者。

 渋谷に呼ばれた。優勝すればプロデビュー、と言われた。お金をもらって衣装を買いに行った。バレエ用品専門店でいいものを見つけた。カエルと猫のかぶり物。ギタリストとベーシストがそれぞれ被った。ドラマーは原始人。キーボードの女の子は肉襦袢(じゅばん)を着てお相撲さんになった。

 武道館は回り舞台だった。裏で布団を敷いて寝た。そして暗闇の中ざわめく表へと回っていった。イントロが始まり起き上がって歌い出した。非日常に日常を持ち込んだパフォーマンスなのであった。ウケた。盛り上がった。

 リハーサルから俺たちを気に入ってくれていたアメリカ人がいた。パットというドラマーだった。彼はその後「MR.MISTER」というバンドで全米1位を獲得。今は再々結成された「キング・クリムゾン」で演奏している。来日コンサートには呼んでくれるのだ。今でも。

 さて結果である。優勝したのは「完全無欠のロックンローラー」を歌ったアラジン。またしてもプロデビューはかなわなかった。少し、やさぐれた。パチンコに通った。あるとき珍しく玉があふれた。喜々とした。そのとき有線放送で「完全無欠〜」が流れた。ちゃんとしなくては、と思った。

 1年間、ライブハウスで地道にやった。反響はイマイチだった。悶々(もんもん)としていた時、新しいバンドを作る話がやってきた。「爆風スランプ」だった。

<サンプラザ中野くん プロフィール>

1960年生まれ、山梨県出身。47歳。84年に爆風スランプのボーカルでデビュー。7月からソロ活動を開始。

(2008年3月19日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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