asahi-mullion.comのロゴ
■トップページ ■サイトマップ ■検索ページ ■くらしの良品探訪・バックナンバー
家庭で実現 かまどの味   くらしの良品探訪タイトル
イラスト
【イラストより】南部鉄器は、炉でドロドロに溶かした湯(鋳鉄)を一個一個、鋳型に流し込む。
第7回
ごはん釜 ごはん釜
岩手県水沢市


地図
 岩手県水沢市は鋳物の町。その歴史は、約900年前の藤原3代の時代まで遡(さかのぼ)るといわれる。近郷の山から鉄鉱石が産出し、北上川から鋳型に使われる川砂や、耐火性に優れた粘土が採れ、燃料の炭や薪が豊富に手に入った。

 近年まで、鉄を溶かすキューポラが林立し、赤い炎が夜空を焦がした。その、鋳物の町はいまも健在。新幹線の駅に程近い一画に、いくつもの工場が並んでいる。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 鉄瓶を作っている工場をのぞくと、ほの暗い土間に、鉄が燃えたぎる熱気と、饐(す)えたような酸化臭が充満している。炉の中は1300度を超えている。火山のマグマ、地球の胎動を目の当たりにしているようだ。その熱に炙(あぶ)られながら、男たちが忙しく立ち働いている。

 炉からドロドロに溶解した湯(鋳鉄)を、湯くみでくんで鋳型に流し込む。鋳型は、木型から起こし、キメの細かい川砂と粘土を混ぜて固めて作る。上型と下型を分け、外型と内側の中子を組み合わせる。鉄瓶の場合は表面のアラレ、ミゾレ、花鳥風月などの文様を、ヘラで外型の内側に手彫りする。

 外型と中子の間に鉄瓶や鍋の厚み分のすき間があり、そこに湯を流し込む。均等に流し込むには熟練がいる。砂が焼けるにおいと熱気が立ちこめる。火花が飛ぶ。ボンッと中の空気が破裂する。

 冷めたところで砂型を壊して、中身を取り出す。1個1個、ヤスリをかけてバリを削り取り、炭火で焼いて酸化膜をつけたり、生漆をかけたりして仕上げる。作業は82工程におよぶ。小さな風鈴から鉄瓶、鉄鍋、大きな街路灯や橋の欄干まで、基本的な作業は同じだ。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 及源(おいげん)鋳造では、伝統的な製品だけではなく、いまの生活スタイルに合ったものを積極的に開発している。「南部ごはん釜」もその一つ。

 釜は、岩手姉っこのように、ふっくらとした丸みのあるフォルムが美しい。肌合いが優しいのに、ずっしり重い。それもそのはず、底厚が5ミリもある。この尻の重さと丸みが、おいしいご飯が炊ける秘密。火にかけると対流が起こり、米が釜の中をグルグル駆け回る。蓋(ふた)が重いので圧力鍋のように、芯が残らず、ふっくら炊ける。

 昔、薪を燃やして、カマドで炊いたご飯がおいしかった。その感動が、一般家庭のガス台で味わえる。日本人は、何はなくても、おいしいご飯をいただく時に、しみじみと幸せをかみしめる。


旧内田家
城下町の面影を残す旧内田家

◆お取り寄せ
 南部ごはん釜(3合炊き、5000円)、ドーナツ型の「タミさんのパン焼き器」(内径17.5×高さ11×深さ7センチ、5000円)。税・送料別。問い合わせは及源鋳造(TEL0197・24・2411、FAX25・3619、(月)〜(金)の午前9時〜午後5時半)。

(2003年10月1日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

《バックナンバー》

asahi-mullion.comのトップページへ
asahi-mullion.comトップページへ
 
 このホームページ(asahi-mullion.com)についてのご意見や情報提供は
mullion-hp@asahi.com

 朝日新聞のマリオン紙面への掲載や問い合わせなどは
 〒104-8011 朝日マリオン21・マリオン編集部
(TEL03-5540-7411 FAX03-3545-0525)
 Eメールは mullion-ppr@asahi.com

 asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
 Copyright 2004 Asahi Mullion 21. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.