
【イラストより】国内産のツゲを一本一本削って耳かきを作る。
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第11回 ツゲの耳かき
 東京都台東区 |
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耳の穴の掃除というのは、この上もなく快感である。目を細めて、そっと耳かきを穴に差し入れてチョリチョリと穴の側壁を掻(か)く。痛いような、痛くないような微妙な快感に陶酔する。
慎重に手を回して、ゆっくりと引き抜いて、耳かきの先を確認する。小さな皿に栗の実のカケラのような耳アカがのっている。人によっては、練りようかんのクズのような耳アカの場合もある。いずれにしても、この瞬間が損得抜きでうれしい。大物が取れたときは、金でも掘り当てたように興奮する。
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耳の奥は敏感な器官だから、耳かきの良しあしが影響する。ちょっと痛かったり、違和感があったりすると不快になる。子供は嫌がって逃げる。耳かきの選び方が大切になる。
耳かきには、一般に象牙、べっこう、金、銀、ツゲ、竹、綿棒などがある。中でも一番がツゲの耳かきだ。金属の耳かきは、耳に入れたときに冷やっとする。竹は先を火で炙(あぶ)って曲げるので、使っているうちに戻ってきたり、割れたりする。べっこうは柔らかすぎるし、象牙は硬すぎる。
ツゲは昔からくしの材料に使われる木で、木質が硬く、密度があって、粘りがある。丈夫で狂わない。感触が優しく、人肌の温かみがある。ペットの犬や猫も嫌がらないという。
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東京・上野。不忍池の向かいに、ツゲくしの老舗(しにせ)「十三(じゅうさん)や」がある。ここで耳かきも作っている。不忍池は一面にハスの葉の波、遠くに寛永寺の森が見える。
「国内産のツゲで作っています。小さいけど、くしと同じに手間がかかる」
竹内敬一さん(36)がいう。14代目の父、勉さん(61)から職人の頑固さをそのまま受け継いでいる。
国内産のツゲは、御蔵島、三宅島などの伊豆七島産と、鹿児島の指宿や開聞岳あたりのツゲが最高級とされている。それを1本1本木取りをして削る。先端の皿の部分も丁寧に彫り、トクサで磨き、鹿角でつやを出す。単純な姿形に、職人の技の粋が生かされている。
たかが耳かき。だが、意外にこだわりや好みも多い。皿の大きさや微妙な丸み、皿の角度や柄の握り具合など、細かい注文をする人も多いらしい。十三やでは、好みに応じていちいち微調整をしてくれる。
自分専用のマイ耳かき。ちょっとぜいたくな気分で、なぜかうれしい。
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| 安売りの店が並ぶアメヤ横町 |
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◆お取り寄せ
耳かき・大(長さ14センチ、1400円)、小(10センチ、1200円)。税・送料別。問い合わせは十三や(TEL03・3831・3238)。
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