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風格生み出す技と歳月   くらしの良品探訪タイトル
イラスト
【イラストより】ケヤキの古木を板に挽(ひ)いて組み、漆(うるし)塗りと研ぎをくり返して丹念に仕上げる。
第19回
仙台箪笥
仙台箪笥
仙台市若林区


地図
 杜(もり)の都仙台で、ケヤキ並木の向こうに青葉山を望む。葉をすっかり落としたケヤキは、枝を空いっぱいに広げて冬空の雲払いをしようとしているようだ。

 ケヤキは仙台の市木。伊達政宗が青葉城築城の際に、大工の棟梁(とうりょう)梅村彦左衛門が本丸大広間のために創案した重厚な箪笥(たんす)にも使われた。これが仙台箪笥のルーツといわれる。

 仙台箪笥の始まりは武家の箪笥。戦前までは上段に大太刀がしまえるようになっていて、ほかの引き出しも羽織袴(はおりはかま)が納まる寸法だった。重要書類や金銭を入れる小引き出しには引き戸がついて二重に鍵がかかった。漆塗りに飾り金具をふんだんに使った頑丈で豪華な箪笥で、婚礼道具の花形にもなった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「生活様式も徐々に変わってきて、箪笥もそれに合わせていますが、伝統的な技は曲げたくない。守るのではなく、自信と誇りを持って主張していきたい」

 老舗(しにせ)「門間箪笥店」は、創業以来百三十余年にわたって仙台箪笥を作り続けている。創業地に「仙台箪笥伝承館」を建てて一般にも公開している。

 材料のケヤキは樹齢が200年以上。伐採後5年くらい雨露にさらし、板に挽(ひ)いてからさらに10年、20年と寝かせて「木枯らし」させる。木を暴れるだけ暴れさせ、癖を出すだけ出させて箪笥の顔に仕上げる。一棹(ひとさお)一棹に表情と個性がある。木と職人との出合い、箪笥を選ぶ客との相性、縁(えにし)もある。それが楽しい。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 仙台箪笥は1人の指物師が「きざみ方」から「組み立て方」までを一貫して行う。幅の狭い板と板を竹釘(たけくぎ)でつなぎ合わせ、ホゾやミゾを刻んで天板、側板、底板を組む。のりで接着し、マツやウツギの木釘(きくぎ)で締める。

 組み立てた木地に、塗師(ぬし)が漆をかける。砥粉(とのこ)で荒研ぎし、本漆を塗っては炭で研ぎ出しながら何度も塗り重ね、最後にツノコ(焼いた鹿のツノの粉)で磨き上げる。

 金具は熟練した彫金師が鉄板にタガネで縁起物や家紋などを丹念に彫り、漆焼きをして磨き出す。補強する機能を超えて、それ自体が職人の技による造形的、美術的価値がある。

 指し物、漆、彫金の「三技一体」の粋で、これでもかと磨き上げて、世に送り出す。年代を経るとともに重厚な味わいと風格がにじみ出てくる。

 いい箪笥は何代にもわたって、その家の歴史と家族の人生を紡いでいく。一家に一棹、ぜひ欲しい。


広瀬川
市内を流れる清流・広瀬川

◆お取り寄せ
 牡丹(ぼたん)金具付きの二つ抽(ひき)小箪笥(間口21×高さ17.8×奥行き21センチ、4万5000円)、三つ抽(21.7×24.5×21センチ、5万5000円)。税・送料別。
 問い合わせは門間箪笥店(TEL022・222・7083、FAX222・1023)。

(2003年12月24日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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