
【イラストより】朝鮮古陶の伝統のけりロクロで、棒状にした土を段々に積んでいく「練り上げ」の技法ですり鉢を作る。
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第33回 すり鉢
 福岡県小石原村 |
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350年の歴史を持つ民陶の里、小石原村は深い山の中にある。福岡と大分の県境にそびえる霊峰英彦(ひこ)山西麓(せいろく)の、山伏たちが修行の場とした行者杉の森にのみ込まれるようにして五十余軒の窯元が点在している。
ここにあこがれの陶工がいる。太田孝宏さん(61)。小石原焼を世界に知らしめた気骨の名工、父熊雄の元で三十余年、文字通り泥まみれの修業をして、数々の賞に輝いている陶芸作家でもある。
この人が作るすり鉢がずっと気になっていた。一切の粉飾をそぎ落とし、固く焼き締まった重量感のある風合い。目は粗く質実剛健だが、たなごころで包むような温かみがある。
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「どんな創作的なものを作っても、必ずすり鉢に戻ってくるばってん。庶民が使う生活道具だからこそ最高のものじゃないといかん。陶芸家も職人。そんことを忘れたらいかんとよ」
親と子、しゅうとめと嫁、ばぁばと孫が額を寄せ合って、すり鉢をおさえ、すりこぎを回す。その小さな共同作業を通して、その家の味や家風が引き継がれていく。家庭のすり鉢料理には家族の愛情の隠し味が入っている。実際、すり鉢ですると口当たりがよく、味が損なわれることがない。
太田さんは、すり鉢に職人の気迫を込めて立ち向かう。こだわりは、朝鮮古陶の伝統を引き継ぐ「けりロクロ」と「練りつけ」の技法。けりロクロは足でけってロクロを回す。練りつけは、棒状にした土を巻くように積んでいく。泥が詰まって強いものになる。
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すり鉢の命は「くし目」。カシやケヤキに歯型を刻んだ目立てで、すり鉢の内側にくし目を立てる。息を詰めて一気に引く直線の造形が美しい。
くし目が終わると、縁に左手の親指と人さし指を外側に当て、右手の親指で内側から押し出すようにして口をつける。この後、乾燥させ、上薬をかける。それを3日間かけて1270度以上の高温で焼き上げる。
小石原焼の原土は岩と土の中間ぐらいの性質で、いわゆる半磁器に近い。さらに、すり鉢の場合は目を固くするために砂を混ぜてある。ちょっとやそっとでは割れない。目の切れがよく、くし目が減らない。2代、3代と使える。
太田さんのすり鉢は胴に少し膨らみを持たせてある。すったときに中身が外にこぼれない。すり鉢を家に1個置くなら、このすり鉢に勝るものはない。
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| 山に抱かれた民陶の里 |
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◆お取り寄せ
6寸(直径18×高さ6センチ)のすり鉢は6300円、8寸(24×11センチ)1万8900円、1尺(30×12.5センチ)2万1000円。寸法は多少の違いあり。送料、荷造り料、代引き手数料別。 郵便かファクスで注文。手作りのため発送に3カ月ほどかかる。FAX太田熊雄窯(0946・74・2082)。
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