懸賞サイトは朝日マリオン・コム-懸賞 プレゼント、懸賞 応募、懸賞 旅行
2010.1.13(水)更新  彩・美・風/三角関係から生まれる美
彩・美・風 バックナンバー    コラムのトップページ   

彩・美・風
三角関係から生まれる美

東信さん
 人が花を贈るということは、どういうことだろうか。いずれは枯れていくはかない命でありながら、その一瞬の美しさに対して人はお金を払う。それだけの価値があるからだ。めでたい時も悲しい時も、私たちの傍らにはいつも花がある。

 23歳の時、スーパーの店先で小さな花屋を始めた。寺の多い麻布の街角で、1束500円の仏花や花束は飛ぶように売れた。だが単なる「モノ」としてさばかれていく花を見て、心につっかえる違和感を感じていた。花はもっと美しく力強く、人の心に触れる何かを持っている。たとえ一輪の花であっても、その人のためだけの一輪を用意したい。一人一人違った思い入れがあるのだから、それを余すことなく表現してあげたい。そんな思いは日に日に強くなった。それが、フルオーダーメードの花屋を始める原点であった。

 麻布を離れて銀座で開いた店には、花屋でありながら花を一切置かなかった。誰に、いつ、どんな思いを込めて贈るのか、お客さんに聞いた上で花を仕入れに行き、この世でただ一つの作品に仕上げる、という方法にしたのだ。

 前例のないこのコンセプトは当初全く理解されず、店は閑古鳥が鳴く状態だった。しかしそんな中でもこの方法を信じて進み続けた。威張れる話ではないが、今ではこうして世の中に対して、少しずつその価値を発信できるようになったと思っている。

 花屋で仕事をする時、そこには必ずお客さんがいて、花があって、自分がいる。ごまんとある花々の中からそれぞれのお客さんに合うものを選び、自分のクリエーションをぶつける。どれかが特出しても偏っても駄目で、その三角関係があるからこそ尽きることなく成長させられる。本気でお客さんと花と向き合う中でしか生み出せない一瞬の美。この腕一本でその美しさをとらえられるか、その絶妙な距離感を追求し続け、今日も花を束ねている。

あずま・まこと 
 1976年、福岡県生まれ。東京・南青山に花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。アーティストとして、ニューヨークやパリなどで個展を開催。
東信さん

(2010年1月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


asahi-mullion.comトップページへ
サイトマップ | 会社案内 | 朝日マリオン・コムとは | 姉妹メディア | 会員規約 | 個人情報・著作権
asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright 2010 Asahi Mullion 21. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.

懸賞サイトは朝日マリオン・コム-懸賞 プレゼント、懸賞 応募、懸賞 旅行