
会田誠は、1965年生まれの作家である。彼は、いつも気取らず、売り込まず、少し自嘲(じちょう)気味な態度なのに、意表を突くような作品を発表している。この作品は、ちょっと見ると伝統的な屏風(びょうぶ)絵のように見えるが、無限大の記号を構成しているのは旋回する零戦である。零戦はホログラム紙を使っているので、玉虫色にきらきら光る。眼下に広がる街は、摩天楼の林立するニューヨーク。タイトルは、「紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)」(96年)である=
写真は©会田誠。写真提供:ミヅマアートギャラリー。
かつて、この作品を見て、なんだ今時、時代錯誤のファンタジーだな、と受け取った人も多かったのではなかろうか。しかし、01年9月11日に、ニューヨークの世界貿易センターのテロが起こった時には、多くの人が、この作品を思い出し、その予言性に驚嘆した。
アートは、ある種の過激な批評性や、政治的なコメントを生み出す場合がある。会田はその筆頭といえるだろう。それは意図してなのか偶然なのか分からない。彼がスペインのアートフェアに出品したときには、ETA vs GALという文字を書いた作品が問題になった。ETAは、スペイン・バスク地方の分離独立を目指す急進的な武装組織のことを意味していたからだ。また、「日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ」と題したビデオ作品は、日本に隠循するオサマ・ビンラディンを演じて笑いを誘うともに、テロの横行する世界への皮肉なコメントを発している。これも国によっては大問題となる。
現代美術の社会に対するシニカルな批評性は、それが装飾や工芸とは違うことの証にもなっているのだろう。
◇6月はモデルでタレントのはなさんの執筆です。