仏像に抱く、熱い思い。「はじめまして」から始まる出会いの瞬間や、大好きな仏さまとの再会の時。心臓の激しい鼓動を感じながら、私は仏さまの元へ一目散に歩き出します。気がつくと、腰のあたりで手を振りながら、心の中でごあいさつ。「こんにちは、お久しぶりです!」
落ち着いてお参りできる状態になるまで、必ず行われるのが、この「あいさつの儀式」。隣に居合わせた友達いわく、大好きな仏さまと対面、対話している間、私は「キラキラ」しているらしい……。キラキラどころか、いつもギラギラです。もはや宗教や美術の枠も超え、自分自身の心から生まれてくる、純粋な思い。もしかして、異性に恋心を抱いた時に感じる、あの熱く、切ない心の動きなのかもしれませんね。
とは言え、私は人間、お相手は仏像。その事実が変わることはありません。ただ、この仏像界と人間界の距離は、心の中で縮めることができるような気がするのです。好きになった相手のことをもっとよく知りたい、話したい、と思う気持ちと同じです。
私が初めて「一目ぼれ」した仏さまは、東寺(京都市)の帝釈天さまでした。
「どうしてそんな表情を浮かべているの?」「なぜ、象にまたがっているの?」「かっこいい」
様々な疑問や思いが次々にわいて、その場から離れられなくなってしまいました。その答えを探していく中で仏教から学んだこともたくさんありましたが、もっと単純にお会いした瞬間、「好き」になってしまったのですよね。仏教界のプリンス、帝釈天さまを。東寺の講堂を埋め尽くす巨大な立体曼荼羅(まんだら)の中で、帝釈天さまの前で立ち止まってしまった理由。それは、まさに「一目ぼれ」でした。
大好きな仏さまの前に立っているだけで広がる、想像の世界。その瞬間、仏さまと私の間には、自分自身が創造した宇宙しか存在しません。一方通行の思いでも、それは仏像界と人間界の時空を結ぶ、巨大な力。私の心に潜む「宇宙」を無限に広げてくれる存在。それが、私の心の仏さま、かな。