大学では立体アニメーションの作り方など誰も知らなかった。その手の書籍さえなかった。だけど、そのほうが自分に合っていると思った。誰からも教わらず、試行錯誤を繰り返した。充実した日々だった。
まず物語のようなものを考え、それから、絵コンテという撮影進行表を作った。人形や舞台セットのデザインも同時に考えていった。立体アニメーションは、少しずつ対象物を動かしては撮影、動かしては撮影という行為の集積だ。作り手にもよるが、一秒の映像を作るために8〜30回(コマ)動かす。
僕は初めて「一秒」という時間について考えた。一瞬で失われていく時間に何を込められるのか。それはどのようなことなのか。
やがて、人形もセットもそれらしく見えるところまできた。問題は撮影の仕方だ。僕は、なんでも手で作ってしまうタイプな分、機械に弱い。大学に一台だけあった8ミリテープのコマ撮り専用機材を使って、苦手な説明書を読みながらなんとか撮影し、編集、音入れまで終えることができた。丸2カ月間、作品を完成させることだけを考えて過ごした。胸がドキドキしたまま、可能な限りの時間を制作に費やした。なんでも一人でしなければいけない、できなければいけない。重圧に潰(つぶ)されそうだった。へとへとになっていた。
完成した作品を、一人薄暗い編集室で見た。約4分の短い作品だった=写真は初作品「TUG−TUG」。なんとか形を成しているだけのひどいものだった。それでも僕は、多くのなにかを学んだ気がした。ひとつひとつはとるに足らないことだろうけれど、僕にとって、それはとても大切なことだと感じた。僕は立体アニメーション制作を通して「自分を成長させること」ができるような気がした。