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2008.1.23(水)更新  彩・美・風/現代アートで地域再生を
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彩・美・風
現代アートで地域再生を

山口裕美さん
 先日、金沢市の金沢21世紀美術館で突然、声をかけられた。非常に元気のよい、関西弁のおばちゃん達だ。作品を前にして、「解説シートを読めばわかるけど、それが何?って気分なのよね」と言う。私は「自分の感じたままでいいんですよ」と言いながら、すぐそばに展示されていたジム・ランビーの作品について説明してみた。液体が漏れているカラフルなレジ袋の作品を前に、おばちゃん達の理解は早かった。「そうか、この袋の位置が低いと思ったら、日本人のあたしらの手の位置なんやね」。純粋に美術が好きな普通の人々の方が、専門家よりもアーティストの気持ちをバチッと理解するものなのだ。

 現代アートの魅力とパワーにいち早く注目し、それを取り入れて成功している地方の例がいくつかある。その筆頭が金沢21世紀美術館だ。04年に開館し、これまでの入場者数は400万人を超えた。私は仕事で毎年何度か同館に出張するが、いつ行ってもたくさんの入館者がいる。とくに子どもたちが楽しそうに作品と戯れているのがうれしい。入場無料のエリアには、ジェームズ・タレルの四角い空が作品になっている空間があって、何時間でもそこに居続けたくなる素敵(すてき)な場所になっている。

 金沢以外の各地でも、現代アートを核にした地域の再生が始まっている。現代美術家の奈良美智さんと大阪の家具集団grafが共同で、ボランティアスタッフと一緒に作り上げた青森県弘前市の「A to Z」展は、経済効果が18億円を超えるといわれた。香川県直島の「ベネッセアートサイト直島」や、新潟県の十日町市を中心とした「越後妻有アートトリエンナーレ」など、たくさんの市民の力を得て、盛り上がった事例も多い。

 現代アートは決して難しくない。これまではアクセスしにくかっただけなのではないだろうか。自由な発想をもたらし、新しい視点も与えてくれる。着実に地域再生の原動力になっていると感じる。

 私も2月から静岡県掛川市で「夜の美術館と現代アート茶会」を企画している。現代アートを通じて、歴史ある掛川を再発見してもらうつもりだ。

 やまぐち・ゆみ 
 アートプロデューサー、現代美術ジャーナリスト。著書に「芸術(アート)のグランドデザイン」(弘文堂)など。
山口裕美さん

(2008年1月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


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