懸賞サイトは朝日マリオン・コム-懸賞 プレゼント、懸賞 応募、懸賞 旅行
2008.2.6(水)更新  彩・美・風/現代人の心つかむ奇想画家
彩・美・風 バックナンバー    コラムのトップページ   

彩・美・風
現代人の心つかむ奇想画家

辻惟雄さん
宮内庁三の丸尚蔵館 蔵
 江戸時代の奇想画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)。その人気は当分衰えそうにない。40年近く前、拙著「奇想の系譜」の中で若冲を紹介したときは、こんな画家がいたのかと驚かれた。それが今では尾形光琳さえしのぐ人気だ。

 ブームのきっかけは2000年に開かれた「若冲展」にある。京都国立博物館が単独で企画した。会場は最初がらがらで、「ワカオキさんって誰ですか」という問い合わせもあった。ところが、後半になって観客がみるみる増え、入場者は最終的に10万人近くに達した。若い人が多かったのも特徴である。

 スポンサーの宣伝なしにどうしてこんな現象が起こったか、ある学生が卒業論文でこの謎に挑み、インタビューを繰り返して得た結論は、意外やeメールやインターネットを通じての個人的な情報交換にあった。若冲ってスゴイ、是非見て欲しい−−「口コミ」ならぬ「メルコミ」の効果がてきめんだったわけだ。

 若者の目をくぎ付けにした理由は、多分その不思議な美しさにある。美しい夢と言い換えてもよいが、いくぶん気味悪い夢でもある。代表作「動植綵絵(さいえ)」のなかにはそれがいっぱいつまっている。

 「棕櫚雄鶏図(しゅろゆうけいず)」=写真=がその一例だ。薄暗い空間に黒白のシャモ。真正面向きの棕櫚の葉の付け根には不思議な穴があいて、こちらをのぞき見する目のようだ。どうしてこんな目が付いているのか、中沢新一さんに尋ねたら、「それは、言葉の代わりに失った野生の思考が、目になって残っているのだ」と答えられた。華麗なる野生の思考−−若冲の絵の本質は多分ここにある。

 つじ・のぶお 
 32年生まれ。日本美術史家。東京大学名誉教授、MIHO MUSEUM館長。日本美術に関する著書多数。
辻惟雄さん

(2008年2月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


asahi-mullion.comトップページへ
サイトマップ | 会社案内 | 朝日マリオン・コムとは | 姉妹メディア | 会員規約 | 個人情報・著作権
asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright 2008 Asahi Mullion 21. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.

懸賞サイトは朝日マリオン・コム-懸賞 プレゼント、懸賞 応募、懸賞 旅行