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2008.4.23(水)更新  彩・美・風/ドリフの笑いにみる新しさ考
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彩・美・風
ドリフの笑いにみる新しさ考

山口晃さん
 ビバ!土曜日。楽しかったなぁ。学校は午前でおしまい。帰ってお昼を食べたら午後いっぱい遊びの時間。半ドンて云(い)うのが、却(かえ)って午後の自由に輝きを与えていたな。友達にも会えるし。思うさま遊んで晩飯をすませたらドリフが始まる。ああドリフ!全員集合。これぞ土曜日。笑った笑った。大いに満足して床につけば明日が休みと云う安らぎが身を包む。きらめいてたなぁ。サタデーイズゴールデン!

 懐かしさに一寸(ちょっと)興奮してしまった。子供の頃(ころ)の土曜のハイライトは、ドリフターズのコント番組。毎週違ったシチュエーションで笑いが展開される。ある週は学校、ある週はジャングル、会社、相撲部屋なんてのもあった。舞台は新しく変われど、ずっと変わらないのは、客を笑わせると云う、その一点だ。

 舞台の方を変えなかったらどうなるだろう。毎週同じセリフ同じ場面。客は笑うのだろうか。やはりだんだん笑わなくなり、番組を見なくなる者もあるだろう。中にはその反復に何やら哲学的なものを読み取って面白がる者も出てくるやもしれない。何(いず)れにしろ、客の心の「笑い」と云う部分からは、焦点がズレたのだ。

 新しいということは、他と断絶してポッとあるのではなく、古さの中に片足を突っ込んでいる。そこに新しさを見ると云うことは、意識するしないによらず古いものを引き合いにしているからだ。「このお笑いは新しいね」なんて言葉は、それまでの笑いを鑑(かんが)みてのことだ。

 何もことを尽くして古いことにつなげなくともと思うが、人間と云うのが古臭い存在だから仕方ない。泣いて笑って食べて寝る。何万年やっていることか。そういう存在に向けて何か表現しようと思ったら、そんな部分に焦点を合わせるしかない。移ろう心持ちに流されぬよう、表層の新しさを調節しながら。新しさと云うのは最も古く大事なことを言い続けるための方便なのだ。

 で、絵と繋(つな)げてカッコよくまとめにしたかったが、紙面がない……また来週っ!(画家)

 やまぐち・あきら 
 69年生まれ、東京都出身。現代美術家。12月に京都府のアサヒビール大山崎山荘美術館で個展開催。
山口晃さん

(2008年4月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


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