いま公開中の最新作「プライド」は、オペラのプリマドンナを目指す女同士の葛藤(かっとう)を描いている。葛藤というより「バトル」と呼んだ方がふさわしいほどの、激しいものなんであるが。嫉妬(しっと)、憎悪、策略、暴力……血も流れる。
憎み合っている2人なのに一緒に歌えば素晴らしいハーモニーが生まれる、というところに惹(ひ)かれ、映画にしたかったのである。原作は、マンガ家生活40周年になる一条ゆかりさんで、映画化への条件は厳しかった。とにかくゴージャスにして欲しい、と。
そこで今回は、オペラのシーンでは、映画やテレビの舞台にはいまだ使われたことの無い新国立劇場にこだわった。怪獣映画で培った特撮も使った。何が特撮かは秘密……と思ったがバラそう。舞台セットはミニチュアなんです。これは絶対に分からないはず。
「デスノート」の時も今回の「プライド」も、見てくれた人は「マンガのキャラにソックリだった」と喜んでくれるんだが、実は、そんなに外見を似せようとしている訳では無い。ポイントは芝居なんですよ、芝居。キャラクターになりきる役者の力とでも言うか。「考えるより成りきれ」と言いたくなる時もあるが、そうしないように注意している。役者も必死に考えてる訳だし、適当な嘘(うそ)になってしまうのが怖いから。
そんな訳で、マンガの映画化の専門家みたいに思われているらしい私だが、マンガばっかり読んでいる訳では無い。普段はオジサン傾向の歴史モノですかね。でも小学生の頃は確かにマンガばっかり読んで描いて、「鉄腕アトムクラブ」にも入ったなあ。同級生の野田秀樹君を誘って……。入ったその月に潰(つぶ)れちゃったんだけれど。