時折、展覧会のオープニングなどで村上隆さんを見かける。この人が日本の美術界を変え、世界に日本を押し出している張本人なんだなとそんな時に感心してしまう。自分の作品に1億円という値段がつけられる数少ない日本人だ。そして世界のコレクターがそれに応じている。
村上さんの武器は日本画と日本のポップカルチャーだ。大学時代に日本画から学んだ繊細さはきちんと活(い)きている。その上で新しいものを世界に見せるため達磨(だるま)図からアニメまで、すべての日本文化を並列するかのように持ち込んでいく。その手法の鮮やかさには毎度驚かされる。
考えてみれば、僕の仕事も実は似ている。ほかの何かを持ってきては、この要素を椅子(いす)に活かしてみてはとか、カメラに盛り込んでみては、と引用することでまったく新しい形を見つける。美術もまたモノづくりだと納得する。
次に彼が驚かせてくれたのはルイ・ヴィトンとの深い関係の持ち方だ。彼の知名度はこれで美術だけではない世界に一挙に知れわたった。商品と作品のはざまにあるような不思議な存在がたくさん現れた。どちらかがどちらかを利用したというのではない、両者ともにハッピーなかかわり方だろう。さらに関係は深まっていて、ルイ・ヴィトンのためのアニメーション作品まで手がけている。
こんな村上さんの活動を見ていると、アンディ・ウォーホールを超えた時代にいることが実感できる。ウォーホールはファクトリーだが、村上さんは有限会社カイカイキキの主宰者で、目的は「日本にアートマーケットの基盤を造る」とある。工場ではなく会社なのだ。
同時に彼はまさに世界のアートマーケットで活躍している。スタジオとオフィスが日本とニューヨークにあるというのも彼らしい。世界は彼に様々な意味合いの日本を見る。世界中に対抗できる相手はいないだろう。彼はアーティストであり、ビジネスマンでもある、稀有(けう)な存在だ。