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2009.11.25(水)更新  彩・美・風/建築緑化の行き着くところ
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彩・美・風
建築緑化の行き着くところ

藤森照信さん
 このごろ日本では、建物の緑化が広く行われるようになった。屋上庭園のみならず、壁面に植物を植え込んでの壁面緑化も試みられている。

 その実績と社会的許容度からすると世界一に違いないが、実は少し前まで私の見るところ世界一はドイツだった。ところがかの国のかのグリーンパワーが、何を思ったか、建築緑化を急にやめ、ソーラーへと方向転換してしまったのだ。きっとそれなりの理論と経験を踏まえてのことだろうが、緑にせよ太陽にせよ自然相手の判断としては短兵急すぎよう。そのうち、ソーラーはヤーメタッ、とならないことを願おう。

 私もあれこれ試みてきたが、動機がエコロジーやサスティナブル(持続可能)ではなく、自然と建築のともにある光景をなんとかしたいという視覚上の問題意識からなので、ソーラーが隆盛したからといって乗り換えるつもりはない。なお、ソーラーパネルほど水や緑の光景をぶち壊すものもないことを忘れずにおきたい。あれが日本の屋根を埋めたら、町や村の光景はどんなことになるんだろう。

 私が試みてきたのは、ニラやタンポポを植えたり、屋根全面を芝でくるんだりだが、当初はいいとして数年すると悩ましい問題が出てくる。給水のこと、土のこと、管理のこと、などなど。年月は、植物と一緒に問題も育てるのだ。

 こうした体験を踏まえ、最近は「てっぺん緑化」に特化しつつある。屋根のてっぺんに、シンボリックに樹(き)を生やす。

 屋根の頂部の緑化は、実は日本には長い歴史があり、茅葺(かやぶ)き屋根の棟(むね)にイチハツやイワヒバやキキョウやユリを植え込む芝棟(しばむね)の風習は、戦前まで、雪国をのぞく全国各地で広く行われ、起源は縄文時代の竪穴住居までさかのぼる。

 私の建築緑化も、まわりまわって縄文時代状態なのである。

 ◇12月は漫画家の、やなせたかしさんによる執筆です。

ふじもり・てるのぶ 
 東大生産技術研究所教授。大分・長湯温泉の「ラムネ温泉館」など手がけた建築は20棟余。近刊に「藤森照信21世紀建築魂」(INAX出版)がある。
藤森照信さん

(2009年11月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


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