「はい! おじちゃんこれあげる」
お正月に実家に帰った時、7歳のおいっ子がくれたのは自分の顔よりでっかいお年玉袋。なるほど。クリスマスに大きな靴下をつるして寝て待つより、はるかに前向きで新しい発想だ。
昨年12月、「Team申(さる)」第2回公演「抜け穴の会議室」という舞台を地元京都で上演した。「Team申」とは、申年の僕がプロデューサーの演劇ユニット(チームといっても僕一人)。作、演出、作品内容にもかかわっている。
この公演においっ子たちを招待した。「あ! おじちゃんや!」と言いながら、ドラマは見ているようだが、舞台は観(み)たことがない。どんな感想を持つのか。遊園地のサーカスには大狂乱だったらしい。負けてなるものか。
客席から「あ! おじちゃんや!」はマズイ。未就学児はガラス張りの照明操作室でおばあちゃん付き添いのもと、観劇。始まるまでは「暑い! 暗い! ガラスがじゃま!」と文句を言っていたが、いざ開演すると舞台を食い入るように観続け、カーテンコールでは客席と一緒に拍手してくれたそうだ。
興奮して楽屋へ走って来たおいっ子。「おお、最後まで観てくれたんや」「うん!」「そうかあ。どこが一番おもしろかった?」「う〜んとなあ、本が落ちてくるところ」。幕が開き、共演者の仲村トオルさんが登場して1分、本がバサバサと天井から降ってくるシーンのことだ。
「そこが一番かい! おじちゃんまだ出てへんやん!」。つっこむ間もなく差し入れのお菓子を物色している。ほおばりながら「また観たい!」と言ってくれた。次は客席で、思いっきり驚かせてやろう。巨大お年玉袋に負けない前向きな発想で。
おっと観逃した方へ、プロデューサーから一言。「抜け穴の会議室」DVD、張り切って発売中。
|
このコラムの感想を送る
|
|
|
佐々木蔵之介 68年生まれ。京都市出身。映画「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」公開中。4月15日から始まるドラマ「絶対彼氏」(フジ系)に出演。
|
|
| |