来週仕事でスペインへ行く。
大学生の時、ヨーロッパを一周したのだが、中でもオリンピック目前のバルセロナが楽しかった。ガウディ建築は鮮烈で、街に渦巻くエネルギーに痺(しび)れた。言ってることは分からんが、つい聞き耳を立ててしまう関西弁っぽいスペイン語にも何とも親しみを覚えた。
普段仕事では、どうしてもセリフ(言葉)を軸に感情を表現しようとする。でも言語が分からなくても情熱があれば伝わるものだ。
韓国に行った時、サラリーマンが焼酎片手に激論していた。顔を真っ赤に唾(つば)を飛ばし合い、今にも掴(つか)み掛からんばかりにヒートアップ、と思いきや沈黙。……あれ? ……終わり? ……15秒後、再燃! 表現者としては高度な技術を要するこの間合い。熱い思いの身ぶり手ぶりが魅力的なキャラクターを造形し、まさにリアルな芝居だった。
去年の冬、一人旅でトルコからチェコの空港に着いた時のこと。手荷物受取所で、僕のバッグだけが流れてこない。片言英語で不安だが、緊急事態だ。意を決し女性係員の元へ向かう。
「荷物、全然出てこないんですけど」「ホテルはどこですか?」「え、ホテル? ちがうちがう、カバンが出てこえへんねん」「明日ホテルに届けます」「なんでやねん? 今、探せよ」「飛行機はトルコに帰りました」「カバン乗っけたままか? なんでやねん!」「アイドンノー」「アホか!」「ホテルを教えてください」「ちょと待てや、明日までどうすんねん!」「ノープロブレム」「問題やろ!」。女性係員のつれなさに、僕の情熱は空回り。
薄着でプラハのバーをはしご。ビールを飲みまくった。美味(うま)かった。翌日、確かに問題なくへこんだカバンが届いた。
来週、情熱の国・スペインでは、熱い思いをまんま関西弁で乗り切ってやる!
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佐々木蔵之介 68年生まれ。京都市出身。映画「アフタースクール」公開中。映画「20世紀少年 第1章」8月30日公開。
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