以前報告したツル植物のヒョウタンとゴーヤは、先週の台風21号による強風で短い生命を終えた。
というかすでにヒョウタンは夏の間にほとんど枯れていたのである。もはや茶色の紐(ひも)みたいになったヒョウタンのツルに、ゴーヤが容赦なくからみつき、勢力を伸ばしては黄色い花を咲かせ続けていたのだ。
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| 題字と季語イラスト・上田みゆき |
花の中央からは、青虫めいたゴーヤのミニサイズがにゅっと飛び出してくる。だが、それがどうしても大きくならない。ならないうちに黄色く変色して落ちてしまう。日々その繰り返しであった。去年は親指大まで育ったのに。
にもかかわらず、毎日かわいらしい花が咲く以上、俺(おれ)はゴーヤを粗末に扱うわけにはいかなかった。
たとえ元気いっぱいのツルがオリーブの木に巻き付いて景観を損ない、「金のなる木」をすっかり覆ってしまって“俺は貧乏になるんじゃないか”という不安をしきりと感じさせ、全体の見た目としては化け物屋敷のベランダをほうふつとさせても、俺は我慢した。
いったんゴーヤの収穫をあきらめてしまえば、あちらこちらに咲く花を俺は心豊かに楽しむことが出来たのである。むしろ実を付けようとしないで欲しいとさえ、俺は思ったくらいだ。
そのうち、ゴーヤの隣に置いてあった2年目の芙蓉(ふよう)が初めて咲き始めた。ふくらむ蕾(つぼみ)は中がからっぽではないかと思うほど軽々としているのだが、そこから立派なピンクの花が開く。
タチアオイと同じくらい芙蓉が好きな俺は、この開花をおおいに喜び、朝起きる度にベランダを見た。
しかしご想像通り、芙蓉もまたゴーヤのツルに巻き付かれているのである。不自由な状態で花を開き、なんとも窮屈そうなのだ。
それでも俺は我慢した。ゴーヤの黄色い花と芙蓉のピンクの花が咲き乱れる。そのベランダのにぎやかさをあえて積極的に評価し、総合的な美観の方を必死に無視し続けたわけだ。
そこに台風が来た。激しい風はゴーヤの葉から水分を奪い、一気に弱らせた。
チャンスは今しかない!と思った。俺は剪定(せんてい)バサミを素早く取り出し、あらゆる場所にからみついたゴーヤのツルを切り尽くした。
長い我慢ともこれでおさらばである。今、ベランダはとても美しい。