ベランダー生活についてあれこれ書いていると、読者諸氏からお便りが来る。年齢層は様々で、老若男女それぞれが植物を愛している様子がわかるのである。
特に驚いたのがタチアオイをめぐるお便りの多さで他を圧倒する量なのであった。私もタチアオイが好きだという告白を、俺(おれ)は熱心に読ませていただいたわけなのだが、逆に言うとそうした告白の機会がタチアオイに関しては日常的に少ないのかもしれない。
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| 題字と季語イラスト・上田みゆき |
なにしろ道端の野生という状況が一般だから、すれ違う他人を呼び止めてまでタチアオイへの愛を滔々(とうとう)と語ることはしにくい。自分が育てたわけでもなかったり、育てたとしても盆栽とは違ってあまりに野性的で自慢の対象にはなりにくいのに違いない。
しかし、その隠れたタチアオイ愛好者たちが立ち上がったのである。俺に向かって「私も好きだ!」と訴えることによって、日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らし、『タチアオイ党』でも結成すれば比例代表制で国会に一人くらいは議員を送り込めそうな勢いなのだ。ただし、国政のお役には立てない。答弁は『タチアオイが好きだ』に尽きる。
それはともかく、「1年目では丈を伸ばさないのでご安心を」という丁寧な慰めをありがたく受け取りました。本当に感謝します。
さて、前々回書いた“頭の良くなる”カランコエについても、封書が届いた。中に資料のコピーが入っていて、「カランコエは丈夫で乾燥に強いので室内でも育てやすく、勉強のあいまに花を眺めてストレスを解消出来るため、『頭の良くなる植物』とも呼ばれる」とあった。貴重な情報をありがとう、Sさん。
俺はてっきり花の香りが脳を活性化するというようなことだと思っていたのだが、「花を眺めてストレスを解消出来る」だけなのである。それならベランダーは全員頭が良くなってしかるべきであり、事は全くカランコエに限らない。
強引な売り言葉である。そもそも「勉強のあいま」というところが笑える。勉強しているから頭脳明晰(めいせき)になるわけで、ぼんやり暮らしていてはどうにもならないのだ。ちなみに、俺のカランコエは早くもすっかり枯れました。
お便りは意外な事実を教えてくれるから面白い。