去年初めて咲いたエンジェル・トランペットが、今年はさらに花期を長くし、2週間以上も咲き続けた。
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| 題字と季語イラスト・上田みゆき |
花を前にした素直な喜びの中に、実は複雑な思いが入り交じっていたのも事実で、その思いは植物と付き合っていく以上、決して切り離すことの出来ない種類のものなのであった。
去年はエンジェル・トランペットを冬の終わり≠ノ剪定(せんてい)したのである。思いきり茎を切り詰めた。たぶんそのおかげで何年も葉ばかりだったものが咲いた。
ところがそれ以降、俺(おれ)は剪定の時期に迷い、結局何の手も打たずにいた。にもかかわらず、エンジェル・トランペットは咲いた。咲いたどころの話ではなく、むしろ花期が長くなった。
簡単にするとこうなる。
(1)剪定したら咲いた。
(2)剪定せずに咲いた。
さて、以上二つの事実から俺はどんな解答を導けばいいのだろうか。
例えば「一度剪定したことによって、以後咲くようになった」という考えはあり得るだろう。だが、それを否定するように「剪定の効果は最長で2年」と考えることも出来る。したがって、剪定しない限り来年はもう咲かないのだ。
反対に「剪定の時期、強さを間違えると咲かない」という警告もあり得るし、「下手な剪定は植物自体を枯らしてしまう」という恐ろしい指摘もあろう。こうなれば剪定しない方がましではないかと思えてくる。
また「基本的に剪定は欠かせないが、剪定せずとも咲く場合がある」という人もいるだろうし、「剪定はいらない。だが、剪定しても咲く」という人があるかもしれない。もう何が何だかわからない意見だが、実は園芸書がそんな感じだ。
植物というものは機械と違って、こうすれば必ず絶対にああなる≠ニは決まっていない。今年よくても来年はわからない。逆に今年悪くても来年いいかもしれない。つまり、園芸なんてほとんどギャンブルと同じなのである。
だが、我々ベランダーはなるべくその事実を認めずにいたがる。自分の知識と判断と労働で花を咲かせたと思いたいからだ。
エンジェル・トランペットが咲いた要因を、俺は結局は知り得ない。これは人と植物の間の、越えられない壁のような真実だ。寂しいけれど本当の話なのだ。