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2007.9.25(火)更新  島旅たび

西表(いりおもて)島(沖縄県)

糸一本、恋情織り込む
西表島

 赤瓦の低い屋根の上で、魔よけのシーサーが空をにらんでいる。サンゴを砕いた白砂の小道を歩くと、サクサクと音がついてくる。ゆったりと島時間が流れている。

 家の中から、カタンカタンとリズミカルな音がもれてきた。開け放たれた窓をのぞくと、おばぁが機織りをしている。暗さに目が慣れると、何人もの笑顔がこっちを見ていた。

 「入ってみたらいいさぁ。お菓子もあるよ」

 島の女性たちが「ミンサー織り」の勉強会をしているのだという。語源はミン(綿)、サー(狭)で、綿でできた細い帯。1600年代に綿の栽培が始まってから八重山の各島で織られてきた。生活の変化でしばらく途絶えていたが、「伝統を絶やすまい」といま、技術を持つ島のおばぁたちが継承と普及に取り組んでいる。

 ミンサーは、木綿糸を琉球藍(あい)で染めて織る。五つと四つの絣(かすり)柄を組み合わせ、帯の両端にはムカデの足に似た模様。「いつ(五)の世(四)までも、足しげく(ムカデ足)通ってきて」という、女の熱い恋情が織り込まれている。昔から、女が愛する男に織って贈った。手じめで糸を織るのが特徴で、女の思いの強さが布にこもる。

 「島の女はやさしくて情が濃いさ。兄ちゃんも島の女と恋愛して、ミンサーの帯をもらったらいいさ」

 同年代のおばぁから言われた。ほの暗い部屋に、シュッシュッと横糸を通す道具の音が響いている。カタンカタンと、ゆったり規則正しい音が眠気を誘う。このまま、島で暮らしてもいいような気持ちになった。=おわり

 文・イラスト 遠藤ケイ


 ◆見どころ

 沖縄本島から約460キロ、台湾まで約200キロの八重山諸島に属する。県内では沖縄本島の次に大きい。島の約9割が亜熱帯の原生林に覆われている。亜熱帯の花々に加え、イリオモテヤマネコやカンムリワシ、セマルハコガメなど珍しい動植物が生息している。

 ●仲間川流域 日本最大級の規模と言われるマングローブの林は、国の天然保護区域に指定されている。上流には、推定樹齢約400年で日本最大といわれる常緑高木、サキシマスオウノキがあり、遊覧ボートに乗って見学できる。
 ●後良川流域 環境省の「残したい日本の音風景100選」に選定。マングローブ林の中から鳥や動物の鳴き声が聞こえる。
 ●星砂の浜 星の形をした白砂がたくさんある。シュノーケリングや海水浴に最適で、浅瀬でもサンゴ礁や熱帯魚が見られる。
 ●マリユドゥの滝 浦内川の遊覧船の終点から山道を歩いて約40分。「日本の滝百選」に選ばれている落差約20メートルの滝。展望台からは滝全体が見渡せる。
 【案内】
 竹富町役場    問い合わせは0980・82・6191
 竹富町観光協会  問い合わせは0980・82・5445


 【交通】
  ▼石垣島・石垣港から大原港。1日10便。石垣港から上原港。1日8便。八重山観光フェリー、問い合わせは0980・82・5010。
  ▼石垣島・離島桟橋から大原港。1日10便。離島桟橋から上原港。1日11便。安栄観光、問い合わせは0980・83・0055。いずれも約40分、便数は変動あり。大原港まで1540円、上原港まで2000円。

西表島
※面積約290平方キロ、周囲約130キロ。人口約2300人。

(2007年9月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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