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谷中(4) 観音寺築地塀

 朝倉彫塑館を出る。せっかくだから、その先の谷中横丁散歩を楽しもう。

 その前に、ちょっと疲れたなと思ったら、目の前に薬膳(やくぜん)カレーとコーヒーの谷中じねんじょがある。
 ここでは動脈硬化や風邪の予防に対応したメニューが組み立てられている。

 お茶とお菓子でもというのなら、その先の花へんろ。そしてその並びに籠(かご)陶器のさんだら工芸

蛍坂から観音寺の小路に掛かると、女の子がびっくりするくらいの早さで駆けてきた
(写真・横田正大)

 そういえば、ここ谷中は民芸と古雑貨の雰囲気の濃い町でもある。
 寺町と民芸、それにしゃれた茶房があちこちにあれば、これはもう、ほとんど小京都ではないか。

 ところが、まさしく小京都的な風景に出くわすことになる。道なり右手の観音寺の築地塀がそれである。

 この町の住人には、この練り塀はすでに有名すぎるほどだが、初めての人を連れてゆくと、まず驚かれ、そして感心される。

 瓦を練り込んだ築地塀が私の歩幅で約50歩だから40メートルほどの長さで続いている。
 築地塀を存分に味わうべく、塀に沿ってことさらゆっくり歩いてみる。

 いつもは、そのまま細い道を下って蛍坂に至るのだが(その途中に、夕やけだんだんよりさらに眺望のきく所がある)、今回は彫塑館の前の道に戻って、谷中学校の前を、そのまま行く。

 寺が続く。その間に、ギャラリーすぺーす小倉屋、べっこうの修理も頼める赤塚ベッ甲店、オリジナルの香が注文できる谷中詩仙香房など、足を止めてみたいところが点在する。
 と、左側に銭湯が。散歩の途中、見つけた銭湯に入って一呼吸するのは、散歩の王道なのだが(疲れがとれ、その後のビールや酒の味がぐんとよくなる)今回は気分で見送り、そのまま進む。

 広い道に出る。三崎坂の道。道を渡ればカクテルバーEAU DE VIE(オウ ド ヴィ)があり、渡らず右に向かえば不思議な居酒屋町人となる。

→ 谷中(5) 三崎坂を下る へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)



2003年1月15日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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