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神楽坂(3) 熱海湯周辺

 神楽坂通りにほぼ並行するように走る横丁。飯田橋方向から見れば左側、この道を小栗横丁という。

 しかし、その途中に熱海湯という銭湯があるので、われわれは内々で、「熱海湯通り」と呼んでいる。

神楽坂の奥。細道を抜けるとサラリーマンにも手ごろな昼食で人気の料亭がある 
(写真・横田正大)

 細い通りながら、飲食店がズラリと並ぶ。
 酒の肴(さかな)、料理で女性ご同伴で喜ばれると評判の店は渡津海(わたつみ)、姿といったあたりか。

 相馬しょうちゃん琴乃富士は、心のこもった料理とカジュアルな値段がありがたい。ただし相馬のように1人前の量がタップリとある店もあるので、初めての人は“要取材”。

 焼き鳥・しょうちゃんの店の数軒手前のトキオカはこの付近ではめずらしく(?)若い女性の客が多い。BGMがトロピカルで、突き出しがキッシュというおシャレなセンス。

 もっともこの界隈(かいわい)も常連の客がほとんど。準会員制の雰囲気が濃厚といえる。

 こういった店の中で、熱海湯の脇の細い道をちょっと上がったところに出来た別亭・鳥茶屋はスペースも広いので、“一度、神楽坂で宴会を”といった向きには適しているかもしれない。
 われわれも夏の一夕、熱海湯で一っ風呂浴びて、ここ鳥茶屋で夕涼みをしたことがある。

 実は、この道を道なり右へ上ってゆくと神楽坂通りへと出る。しかし、路地・横丁通は、逆に神楽坂通りから、この曲がりくねった細道を下りて、熱海湯の脇に出る。とくに、夜になると、一層雰囲気がいい。

 この小栗横丁、実は泉鏡花の旧宅があったところ。で、人によっては鏡花通りという人もいる。
 この通りのさらに左裏には、“神楽坂にシティーホテルが”と評判になった、アグネスホテルがある。

 神楽坂の横丁のディープな店でしばらく楽しんで、あとはホテルのバーでスッキリと切り上げるというのも、ちょっと小粋な流れかもしれない。

→ 神楽坂(4) 本多横丁 へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年4月23日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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