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両国・柳橋(3) 回向院へ

 前回の柳橋の小松屋だが、つくだ煮・釣り舟の小松屋と、対岸、屋形船の船宿の小松屋がある。二つの小松屋、まったく別経営なので東日本橋側の船宿・小松屋ではつくだ煮は買えない。ご注意を。

 さて柳橋を渡って両国橋に向かう。神田川を渡ってすぐに両国橋のかかる隅田川を渡ると、改めて隅田川は大きな川だなあ、と実感する。
 川風に吹かれながら川を渡って両国側、京葉道路ぞい左右に、老舗のどじょう屋やイノシシ料理の店があり、下町ならではの気配をただよわす。

 進行方向右側、回向院の少し手前に両国花火資料館の表示がある。
 もちろん隅田川、両国橋となると江戸時代以来、花火のメッカである。

 花火資料館、小さな資料館ながら、花火の歴史や構造をビデオや係の人が解説してくれる。
 花火資料館の展示に見入っていると、平成の世の現実を忘れ、ちょっとしたタイムスリップをした気分となる。

御利益を求める参拝者用に作られた前墓(手前)。「ノミ」も備えてあり削りやすい 
(写真・横田正大)

 そして回向院。JR両国駅からだと、西口から国技館通りを京葉道路に出て正面、という位置にある。

 この回向院、いくつかの顔がある。一つは江戸相撲の常設場所であったところから今日もなお、なにかと相撲界との関係が深い。

 もう一つは境内に入ればすぐに目につく、猫供養、犬供養の塔や碑。ペットの墓である。

 それと関係があるのかどうか、こちらはネズミ。今も人気の“義賊”鼠小僧次郎吉の墓。
 この墓石が、水商売や賭け事、受験合格の御利益があるとかで、これを削り取ってゆく人が後をたたない。

 もともと、この回向院、明暦3(1657)年の「明暦の大火」でなくなった人を埋葬して建立した寺。
 犠牲者の宗派もまちまちであったところから「諸宗山無縁寺回向院」と名づけられたもの。

→ 両国・柳橋(4) 国技館へ へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年9月3日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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