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日本橋(2) 橋詰め周辺

 人はともすれば、橋があると、つい、ムキになって足早に渡り切ってしまおうとする。
 とくに車の行き交う道では、そんな気分になりがちだ。しかし、この日本橋、とくに散歩がてらのときはそんな渡りかたではかなりもったいない。

 明治44年建造、花崗岩(かこうがん)づくりのこの橋は、土木・建築関係者にいわせれば、その姿、風格ともに東京でナンバー1の橋といっていいという。
 橋の上を渡るだけでは、その橋の全体像はつかめない。橋のたもとの階段を下り、橋の容姿と、日本橋川の流れをながめる。

 斜め横から見ると、日本橋がどんなに豪勢で美しい橋か納得できる。
 また、ただ渡るだけではほとんど意識すらされない日本橋川の、川の満干の流れに見入ることになる。

 ただ、この日本橋の上には、ご存じのように、無粋な高速道路がおおいかぶさるように走っている。
 この風景は、わが国の、都市景観に対する救いがたい鈍感さを示す、負の記念碑として存在している。

日本橋の真ん中が起点の日本国道路元標。京都まで約500キロの壮大な“散歩”の始まり? 
(写真・横田正大)

 橋を渡った北詰めの左側には、東京市道路元標がある。これは「東京は日本橋、京都は三条橋の中央をもって国内諸街道の元標」と定めたもの。
 つまり、ここが国道1号線(東海道)、4号線(日光街道)、6号線(水戸街道)、17号線(中山道)、20号線(甲州街道)などの起点となっている。
 「お江戸日本橋七ツ立ち」の、江戸以来の伝統を引きついだものである。
 東京市道路元標のわきにある日本国道路元標は日本橋の道路、中央にあるものの複製品。

 たとえば千住あたりを歩いているとき、ふと頭上の道路標識に「日本橋まで10キロ」などという標示を認めると、自分が手甲脚半に振り分け荷物を肩にした旅人になったような気がしないでもない。

 

→ 日本橋(3) 名建築巡り へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年10月1日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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