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千束周辺(2) 千束通りへ

 ひさご通りが、ちょっと脇道をのぞくと暗い路地に旅館やホテルの灯がともるといった街区なのに対して、言問通りを渡って千束通りに入ると、街の気配は一変する。

 いわゆる、普通の、昔からある下町商店街といった趣となる。
 浅草気分(?)濃厚な洋品店、小さな書店、個性的なラーメン店、いかにも地元密着型の喫茶店などなど、のぞいてみたいたたずまいの店が立ち並ぶ。

「レバ大好き」の人にはうれしい味。食べるほどに口の中がピリ辛に。ファンが多いという 
(写真・横田正大)

 言問通りから千束通りに入ってすぐ左、「タンメン、純レバ」の看板が目に入る。「味の工房・菜苑」という文字も気を引く。
 千束通りの名物店といっていい「純レバ」の菜苑である。
 ここの純レバはレバを甘辛くいため、その上にきざみネギをバサッと盛ったダイナミックなもの。
 この1品だけでもかなりのボリュームなので、他のメニューも食べたい向きは、2人ぐらいで入って取り分けて食べるといいかもしれない。
 夜は夕方の5時から夜明けの4時まで営業という徹底した「夜ふかし型」。

 菜苑の少し先、横町を渡ったコンビニエンスストアの2階には落ち着いた雰囲気のバーuncle−kがある。千束で手ごろなワインが深夜まで楽しめるというのがありがたい。

 その先、千束通りを横切る細い通りが通称猿之助横町。明治から大正にかけて人気を博した歌舞伎役者・市川猿之助が住んでいたことから猿之助横町と呼ばれるようになった。

 この横町にも心引かれる飲食店が多い。とくにこの横町を国際通りに向かって左側のかいば屋などは作家や演劇人の集まった戦後の記念碑的な居酒屋である。

 千束通り浅草3丁目交差点角には、これまた居酒屋通にはよく知られる、沖縄料理と泡盛の乙姫がある。

 この界隈(かいわい)、知れば知るほど魅力のある食都である。

 

→ 千束周辺(3) 浅草4〜5丁目 へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年11月5日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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