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千束周辺(4) 酉の市の街へ

 千束という街の一大イベントといえば、もちろん11月の酉(とり)の市。
 今年の8日の一の酉は天候にもめぐまれ、どっと人が繰りだした。(おおとり)神社の正面道路は、一時はぎっしりと人で埋まり、なかなか前へ進めないほど。

外資証券会社員の家族連れ。マネー集めを願って手締めをしていた 
(=8日、写真・横田正大)

 ところで、人と鷲神社の酉の市へ行くときはどこで待ち合わせをするか。手っ取り早いのは浅草ビューホテル
 ここのロビーに集合か、その奥のカフェでビールでも飲みつつ酉の市へ向かう気持ちの準備をする。また、雑踏の中で集団とはぐれた場合でも「何時にまたロビーで」ということにしておけば心配がない。

 さて、そこからだ。ビューホテルを出て、そのまま目の前の国際通りを北へ向かえば、人の流れは酉の市の鷲神社、また長国寺へ至る、ということになる。
 沿道はビッシリと屋台が並ぶ。またそこに店をはる商店も、この日ばかりは酉の市ならではの店頭の商いをして、なんとも活気のあるウキウキした気分の「酉の市街道」となる。

 しかし、もう少し、浅草、千束の街に親しんでいる人は、このメーンストリートの国際通りばかりではなく、千束通りを歩いてゆく。
 そして、たとえば浅草4丁目の交差点、興産信用金庫の角を左折して、これまた両側に屋台の並ぶ小松橋通りから入ってゆく。
 屋台を一軒一軒のぞいてゆくのも楽しいが、実はこの通りにも、酉の市ならではの「ハレ」の商いをする魅力的な店が何軒もある。

 お店が屋台のうしろ側になるので、つい見過ごしがちになるが、大学いもやきぬかつぎのゆでたのを売る店、地ビールやワインに気の利いた酒の肴(さかな)で客をもてなす名物酒店、煙をもうもうと立てて焼き鳥と酒で人だかりのする老舗、などなど、これぞ下町の歳時記!といった光景がなんともうれしい。

 今年の二の酉は20日、つまり19日の深夜から。

→ 千束周辺(5) 吉原界隈 へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年11月19日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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