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柴又周辺(2) 帝釈天へ

 柴又散歩の楽しみの一つは、帝釈天へ至る参道沿いの店をのぞくこと。
 戦前から大正、明治どころではなく、250年も続く店もあるのだから、歩いていて楽しくないわけがない。あっちの店、こっちの店と立ち寄りたくなるのでどうしてもジグザグ歩きになる。称して“参道歩き”。

 連れが女性の場合は、だんご屋さんの前を素通りするわけにはいかない。草だんご1本、焼きだんご1本でも味見してもらうのがマナーというもの。
 だんごは高木屋老舗とらやが大きな店構え。高木屋は映画「男はつらいよ」のモデルになったことで知られる。二つの店の草だんごを食べくらべるのも一興か。
 ただし、だんごに熱中してしまうと、柴又名物の鯉(こい)や鰻(うなぎ)の料理が入らなくなる。参道に入ってすぐ左のゑびす家の鯉コク、帝釈天手前の川千家(かわちや)の鰻、ちょっと迷うところではある。

初期の映画ロケに使われただんご屋をはじめ老舗のつくだ煮屋などが並ぶ参道 
(写真・横田正大)

 参道沿いにはその他、漬物屋、豆屋、つくだ煮屋、天ぷら屋、せんべい屋、菓子屋と食べ物屋が並ぶが、大人も子どもも注目してしまうのが、松屋の飴(あめ)総本店の飴づくりの様子である。機械で練られた飴を取り出す作業など、つい見とれてしまう。

 さて、参道の突き当たりが柴又の帝釈天、正しくは経栄山題経寺(きょうえいざんだいきょうじ)。創建は江戸初期という日蓮宗の古刹(こさつ)。帝釈天の彫られた板本尊の発見されたのが庚申(こうしん)の日だったとかで、縁日は年6回の庚申の日に開かれる。
 庚申とは干支(えと)の一つ。シンボルは猿で、庚申塚には例の三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)の像が立っていることが多い。柴又の名物も「はじき猿」で知られるが、今日は、寅さんグッズ。猿から寅へは時代の流れか。

 さて帝釈天、総ケヤキ造りの拝殿の木彫、また本堂外壁の「日蓮上人一代記」などの彫刻で“彫刻の寺”とも呼ばれている。

→ 柴又周辺(3) 矢切の渡しへ へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2004年4月14日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から

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