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北千住(1) 宿場町通り

 東京のガイドブックの類を手に取るとき、私の一つの目安は、北千住周辺が取り上げられているか否かにある。
 なぜなら、北千住はいまだ「トレンディーな下町の観光地」ではないかもしれないが、街歩きしていて、こんな魅力的なエリアはそうはない、と思っているからだ。

 北千住駅周辺は再開発によって小ぎれいな街となったが、なに、駅から少し歩けば東京・下町の、しかもかつての宿場町の雰囲気があちこちに残っている。

 北千住駅西口の先、旧日光街道右方向は、宿場町通りといわれるとおり、江戸四宿の一つ「千住宿」の一角である。そのイメージもあってか、戦後、墨田区で育った私なども、北千住と聞くと、ずいぶん遠い町と思っていた。しかし今は、北千住は地下鉄で上野から10分足らずである。
 こんな近くに旧日光街道の宿場町が……と改めて驚く。この北千住、まずは、宿場町通り。初めての人が足を止めずにはいられないスポットが何カ所もある。植え込みの路地がいい。昔ながらの商店がいい。また居酒屋通、話題の店も少なくない。

宿場町に似合った素朴な看板が懐かしい。買った団子をその場で口に運ぶ親子連れ 
(写真・横田正大)

 この宿場町通りを、まっすぐ荒川方向に行き、荒川の土手に立ち、戻ってくる。その途中で、古い宿や蔵、あるいは江戸・明和年間に骨接ぎとして始まった、名倉医院の長屋門などの古建築に出合う。

 また、途中、大きな「かどやの槍(やり)かけだんご」の看板はどうしても目に入る。モチモチとやわらかいだんご、「やき」と「あん」を味見しながら、というのも旧街道っぽいか。
 左党の人のためには、焼き鳥とワインの超人気店、バードコートや、改装なった宿場町通りのシンボル的存在、大はしがある。

 いずれも、開店早々、席がうまってゆく。下町の常連客はスタートが早い。油断すると、満員で入れないという憂きめにあう。

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坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2004年6月30日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から

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