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2007.3.14(水)更新  石丸謙二郎 それゆけスポーツ


もっと野球を面白く

イラスト・題字  山本祐司
 こんな野球がしてみたいー。

 ある意味、野球は偏ったスポーツだと思う。普段、僕らがやっている野球は、バッターはボールを打つと、必ず「一塁」へ走っていく。右打ち選手も左打ちの選手も、振り逃げしても、四死球でも、バッターは必ず「一塁」方向に進む。

 そこで、こんな風に変えてみるのだ。塁にランナーがいない場合、バッターは、一塁方向と三塁方向のどっちに向かって走ってもかまわない。つまりバッターが選択できるのだ。ただし、いったん回る方向が決まると、ランナーがいる限り、同じ向きに回らなければならない。

 例えば、ボテボテのゴロが一塁方向に転がる。通常ならアウトになる確率が高い。だから、そうならないよう、「三塁」に走るのだ。あるいは左中間ヒットを三塁から回れば、三塁打になる可能性も十分に出てくる。

 これで、何が変わるか? 普段僕らがやっている草野球は、他のスポーツと比べると、のんびりしている。1試合の守備でボールに触れる機会も少ない。そこに、緊張感が生まれるのだ。今、「どちら回り」なのかを常に把握していなければならない。守備の形も、走る向きによって、変わるだろう。観客も楽しめる。勘違いプレーも続出するだろう。二塁ランナーと三塁ランナーが正面衝突したり、外野手が一塁ランナーのタッチアップを忘れたり……。

 これは、草野球の方が面白いでしょう。会社の支店対抗試合とか、盛り上がると思うな。9回の裏、ツーアウト満塁なんて場面、どっち回りだったかを確認しようと、何度もタイムがかかりそう。ランニングホームランを打ったら大変ですぞ! なんせ、時計回りの走りなんて、陸上競技を含めても見かけないのだから。走ってみますか。ハアハア……。


 いしまる・けんじろう 
 俳優として映画、舞台、テレビドラマ、CMなどに出演。テレビ朝日系「世界の車窓から」では、87年の放送開始当初からナレーターを務める。ウインドサーフィン、フリークライミングなどスポーツを幅広く趣味に。53年、大分市生まれ。53歳。

(2007年3月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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