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2005.5.19(木)更新 ストリートストーリー
 
言問通り  (東京・浅草〜弥生)

 徳川家ゆかりの寛永寺を軸に発展をとげてきた東京・上野を中心に、浅草から文京区の弥生までをつなぐ言問(こととい)通り。ここには昔からの文化や芸術、人情が今も受け継がれている。

 
イラスト・橋爪かおり
文化と人情の香り今も

 上野桜木2丁目の言問通りから谷中霊園に続く桜並木の下にある仏菓子店「パティシエ イナムラショウゾウ」。オーナーの稲村省三さんは毎朝、言問通り沿いの寺に線香を手向ける。稲村さんはホテル西洋銀座などを経て独立した。だが、00年の開店当初は連日閑古鳥。先輩は青山のような流行のある街でないことを心配した。でも、上野がよかった。「美術館に歴史的建造物、ちょっと行けば歓楽街。文化と人情が交錯する街のお菓子屋さんになりたかった」

 本当においしいものをつくり続ければ客はついてくるとの思いで仕事に没頭した。やがて全国区の人気を得る。「忙しい毎日の中で、言問通りにパワーをもらっている」。線香は、純粋な気持ちで仕事を始めるためのものという。

 稲村さんをひきつける言問通り近辺は、かつて、三代将軍家光の時代に完成した寛永寺の寺領。維新後は同寺所有のこの土地に作家や芸人、文化人らが移り住んだ。後の昭和初期には川端康成もこの地に暮らし、言問通りなどから浅草に通い「浅草紅団」を残した。

 寺領の地代を集める「差配」が住んだ古い建物で営業する、通り沿いのおでん屋「おせん」。江戸太神楽の故・12代目鏡味小仙の妻である店主の生駒久江さんは「昔は2階に内弟子が住み込み、獅子舞や傘の曲芸を練習していてそれはにぎやかだった」と語る。常連客の一人が安原まゆみさん。辛口評論で知られた編集者の故・安原顕(けん)さんの妻だ。顕さんは酒を飲まなかったが、生駒さんは「評論家として名をなした後も、町内会の寄り合いに気さくに顔を出し、写真撮影でピースをして場を盛り上げてくれた」と、名物編集者のひょうきんな側面を懐かしむ。

 そんな、「仕事や年齢、立場の違う人が飾らないで近所づきあいできるのが言問通りのいいところ」と、まゆみさん。地元の人によれば、今もぶらりと散歩する舞台演出家や彫刻家、落語家らの姿を見かけるという。

 言問通りに漂う文化と人情の香りは昔と変わらない。

(田舞)

  毎日でも通いたい豆腐屋

 「とうふ」の看板に思わず足を止めてしまう「藤屋」(TEL03・3821・3578)。大正3年の創業以来、良質な地下水を使った伝統の手作り製法で、豆腐を作り続けている。絹・木綿豆腐(160円)は、井戸水ごとパックして販売するというこだわりよう。昔は、ザルを持った近所の人たちが朝食のみそ汁用に作りたてを買いに来ていたとか。店構えといい、お店の人の優しさといい、懐かしさが詰まったような店だ。(日)休み。(祝)は午前中のみ。

  芸術にふれ楽しむフレンチ

芸大関係者に愛されてきたワインレストラン「ペペ・ル・モコ」(TEL03・3823・7387)。ワインレストランというだけあって、ワインの種類は常時200種類以上。食後の一口にうれしい貴腐ワインのおためしグラスなども。店名は映画「望郷」(37年、仏)の原題から。店内のあちこちに映画の名シーンの絵が飾られ、ムードも満点。上野散策の帰りにぜひ立ち寄りたい。ランチ1575円〜、ディナー3600円〜。(月)休み((祝)の場合は翌日)。


ほのぼのとした町 歴史探訪
 菊川怜さん(女優)
 根津は大学からすぐそばだったので、学生時代はお散歩コースにしていました。谷中の寺院建築のリポートが出たときはあちこち見て回りかなり勉強しましたよ。谷中霊園の入り口にある桜並木は花も緑もきれいでしたね。懐かしいな。今はなかなか行けませんが、あのほのぼのとした通りをゆったりまた歩きたいです。
 ■東京・明治座の六月公演「五瓣の椿(ごべんのつばき)」で舞台初主演する。共演は片岡愛之助ほか。6月4日(土)〜28日(火)。



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