第2の故郷守るヒーロー
「シュワッチ!」という叫びが今にも聞こえそうな周辺案内板が、この春、小田急線・祖師ケ谷大蔵駅前に現れ、住民を驚かせた。駅を南北に延びる通りを中心にした街並みが、話題の「ウルトラマン商店街」だ。街路灯に掲げられた青色の真新しいペナント。初代「ウルトラマン」が飛ぶ姿をモチーフにしている。風になびく様子はさながら通りをパトロール中のようだ。
そんなウルトラマンを「やがては名誉区民に!」と意気込むのは、世田谷区職員の佐久間浩康さん(39)。今回の商店街誕生の仕掛け人だ。昨年、区職員による特別課題研修「せたがや売り込み隊」で、佐久間さんらのチームが「せたがやウルトラ計画」を発案した。ウルトラマンを生み出した円谷プロが祖師ケ谷大蔵駅を最寄りにしていた縁からだ。「ゴジラという案もあったけど、街を踏みつぶしているからね」と笑う佐久間さん。
気がかりだったのは区の特別な予算補助がないこと。なにせ相手は子供たちのヒーロー。多額の使用料がかかると計画は難しい。だが熱意が通じる。円谷側が街づくりの目的でならと、キャラクターの無償使用を認めてくれた。佐久間さんらは早速、区の各部署に案を募り、予算の出る街づくりに必要なものにキャラクター意匠を導入した。この結果、ウルトラマンの案内板や車止めを作っても余分な予算はかからなかったという。
一方、地元の合意などに奔走したのは商店街副理事長の内海康治さん(49)。「今はまだ名前だけですが、今後は街のモラル向上や商店街のイベントにウルトラマンを起用していきたい」とヒーローの活躍に期待する。駅前にシンボル像を建てる計画も進行中という。
こんなユニークな通りの誕生に、近くの保育園に迎えに来た今野律子さんと柳利江さんは「子供が大喜び」と口をそろえた。特に初代のウルトラマンが大人気とか。ベビーカーの3歳の男の子を見ると、その手にはビニール製のウルトラマン人形がしっかりと握られていた。
(嶋津智子)