スポーツファンが集う
地下鉄外苑前駅からスタジアム通りへ続く階段を駆け上がる。地上に出たとたん、気持ちが引き締まる。「よし、決戦だ」
プロ野球ヤクルト・スワローズのファンサイト「我らツバメ軍団」を運営する田中慎司さん(20)は小学1年生からのファン。これまで50回以上は「スタジアム通り」を歩いた。
駅から神宮球場までは約5分。「今日はどんな結末が待ち受けているのだろうか」。胸の高鳴りにあわせて足取りがはやまる。試合開始まで2時間もあるのに、早く球場に入りたくて仕方ない。途中、コンビニに立ち寄るのがいつもの習慣だ。買い物を済ませると猛ダッシュする。「はやる気持ちが抑えきれなくなる」のだという。
この通りが「スタジアム通り」と名づけられたのは92年。青山外苑前商店街振興組合創立40年を記念し、公募で決まった。行政上も認められ、地図にも載るが、オシャレな街の代名詞青山にありながらふだんは人通りが少なく、レストランやカフェも数えるほど。
しかし、この通りには、野球などスポーツを愛する人にしかわからない魂がある。神宮球場をはじめ、秩父宮ラグビー場、少し先には国立競技場。ここを通って球場に向かう人々はマウンドに登る投手と気持ちが一体化する。勝利を見届けた帰りはお気に入りの選手のユニホームに身を包んだまま誇らしげに応援歌を歌い、歩く。
選手にとっても特別な道だ。戦略を練ったり、その日のゲームを振り返ったり。元ヤクルトの人気選手でプロ野球解説者の池山隆寛さんが言う。「車の中から大勢のお客さんを見るたびに、ありがたい気持ちになった。この通りは野球の盛り上がりを支えてくれる大切な道です」。ヤクルトはまだ優勝をあきらめていない。「通りの活性化のためにも、踏ん張ってもらいたい」とエールを送る。
長年スワローズを応援してきた振興組合の小林敬三さんが話した。「スワローズは、通りの大切なテナントの一つ。強くなれば通りも活気づきます」
(野戸昌希)