潮風吹くスポーツロード
休日になると一宮町の海辺には車の列ができる。並んだ車両のそばで、サーファーたちがウエットスーツに着替え、次々と波乗りのポイントを目指し、海に入っていく。夏でも冬でもこの光景は変わらない。「一番好きなのは秋のサーフィンかな」。毎週末、車にボードを積み、都内から通っている阿部憲和さん(29)が日焼けした顔をほころばせ、言った。ここは世界大会も開かれる日本有数のサーフスポットだ。トッププロもアマチュアもこぞって足を運ぶ。
しゃれたレストランやサーフショップが軒を連ねる一宮町付近のビーチライン。「でも、昔は店どころか建物すらなかったんだよ」と笑顔を見せるのは、老舗(しにせ)のサーフショップ「chp」経営の中村一己さん(66)だ。日本でサーフィンの人気が未知数だった30年前に店を開いた。サーファーへの助言など商売だけにとらわれない地道な活動が支持され、今や「chp」はサーファーたちに敬意を抱かれるブランドになった。同町を訪れるサーファーは年間約45万人。年々、増えており、昨年はサーファー専用のアパートまで登場した。中村さんが言う。「プロもアマチュアも、みんなが楽しくサーフィンをしてくれればいいよ」
このあたりの海辺の楽しみは波だけではない。「一の宮乗馬センター」は、馬にまたがって水平線を眺めながらビーチを散歩できるユニークな乗馬施設だ。会員でなくてもフラッと立ち寄って乗せてもらえるところがうれしい。
ビーチラインを南下すると、「麻雀(まーじゃん)博物館」がある。「麻雀は頭の体操として中国では正式な体育種目なんです」とは同館広報の田村栄之さん(66)。来館者が自由に対戦でき、プロの参加もあるという。「見ず知らずの人が交流できる麻雀って素晴らしいでしょ?」と田村さん。館内では、「北京五輪の正式競技に」などと壮大なおしゃべりも交わされていた。
体でも頭脳でもスポーツする。九十九里ビーチラインは世界的なスポーツ・ストリートかもしれない。
(菅谷知子)