きずな深める懸け橋に
韓国人留学生の李尚昊(イサンホ)さん(29)と東京・新宿の職安通りを歩く。
「石原裕次郎とヨン様、どっちがいい男かしら〜」。楽しそうに話す中年女性の2人組とすれ違う。
通りの雰囲気はここ数年の韓流ブームで大きく変わった。韓国スターの写真入りグッズを扱う店が増え、連日多くの人が訪れる。通り沿いだけでざっと30軒の韓国料理屋が密集している。
「ここが日本か韓国かわからなくなることがありますよ」と李さんは言う。夫が韓国人で以前からよく通りに来ていたという林和泉さん(41)は「ブームをきっかけに女性が来やすい街になった。以前はこんなに日本の女性はいなかったんですよ」と笑った。
98年から韓国雑誌や書籍、CDなどを販売するコリアプラザは、03年の「冬のソナタ」の放送後から来客数が飛躍的に増えた。それまで日本人の客は1割程度だったが今や全体の8割以上を占め、売り上げも約5倍に。8月には店の広さも2倍に改装した。通りにはここ数カ月の間にオープンした店も多い。大阪から来たという30代の女性は「クォン・サンウさんのファン。ずっとこの通りに来たかった。こんなにグッズがそろう街は他にないですね」。
にぎやかに見えるこの通りに、こんな思いもある。文化の伝来などで密接な関係を築いた古代から日本の植民地支配があった近代まで、約2000年の日本と朝鮮半島の歴史を伝える高麗博物館。宋富子(ソンプジャ)館長(64)は「このブームで韓国に興味をもったら、在日韓国・朝鮮人の存在にも目を向けてほしい。そして歴史をきちんと学んでほしい」。一過性のブームで終わらない、一歩進んだ関係を望む気持ちが根底にある。
新聞記者を目指す李さんは言った。「ここが日本と韓国の友情の懸け橋になればいい。お互いまだ誤解している部分がある。双方が理解を深め歩み寄れるよう、僕が真実を伝えたい」。
(熊坂麻美)