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2005.9.15(木)更新 ストリートストーリー
 
旧青梅街道  (東京・青梅)

 昭和30年代の雰囲気で街づくりをしている旧青梅街道の住江町商店街。通り沿いの商店や駐車場などに30枚前後の映画看板が並ぶ。10年以上前から始まったこの試みは、今では青梅の風景として定着している。

 
イラスト・岡澤香寿美
「昭和」伝える映画看板

 「風と共に去りぬ」「第三の男」……東京都青梅市の旧青梅街道沿いの約200メートルにわたる通りの両側に、今どき珍しい手書きの洋画や邦画の看板が並ぶ。

 泥絵の具の重ね塗りで様々な色と質感が出され、今にも画面の中で役者が動き出しそうだ。

 「迫力があって、驚いた」。市内の大学に通う高橋久爾さん(22)はいう。

 描いているのは、映画看板師の久保板観さん(64)。「映画看板はもともと使い捨て。昔の上映期間は1週間だったからね。今は1年中飾ってもらえるからありがたいね」  180×270センチの大きな板に紙をはり、ニカワで溶かした泥絵の具を使う、昔ながらの手法を続ける。「個性が出る」から、と下書きも投影機を使わない。

 12歳で映画看板に魅せられ、独学で絵を学び、16歳から青梅の映画館で看板を描いてきた。テレビに押され、3館あった最後の映画館が73年に閉じると、久保さんも映画看板の仕事がなくなった。商店の看板の文字などを書く看板屋に転向した。

 そんな久保さんの映画看板が再び青梅の街を飾るきっかけになったのは、94年の青梅宿アートフェスティバルだった。市内の商店街が企画したイベントで、約20年ぶりに映画看板を描いた。

 この看板に目をつけたのが、昭和レトロ商品博物館と青梅赤塚不二夫会館の館長、横川秀利さん(70)。「映画は青春そのもの。映画を通して恋の手ほどきを受け、外国を知ったんだ」という横川さんら商店街の人々が、「通りに、にぎわいを取り戻したい」と久保さんに映画看板を依頼して、街づくりにつながった。

 約160年前から通りに店を構える和菓子屋「道味(どうみ)」の川嶋洋子さん(58)は、「最近、若い人の姿が増えてきた」という。携帯電話のカメラで「ローマの休日」の看板を熱心に撮る20代の人の姿を見かけた。

 今なお「昭和の青春」が伝わってくるようだ。

(牧野 祥)

  懐かしい昭和に浸ろう

 ▼「昭和レトロ商品博物館」=昭和大衆文化研究家、串間努さんの商品パッケージコレクションを中心に展示。300円、小中学生150円。「青梅赤塚不二夫会館」=漫画の原画や製品化されたキャラクターグッズなどを展示。400円、小中学生200円。「昭和幻燈館」=造形作家、山本高樹さんの昭和の風景をテーマにしたジオラマ(立体模型)などを展示。200円、小中学生100円。3博物館とも午前10時〜午後5時。(月)休み。3館共通券700円、小中学生330円
 ▼「青梅宿アートフェスティバル」=11月19日(土)、20日(日)、午前10時〜午後8時、旧青梅街道周辺。市内の商店街が企画するイベントの15回目。今年のテーマは「感傷組曲の青梅宿」。ロッテのキャンデー「小梅ちゃん」をメーンキャラクターに据え、「小梅ちゃん」パッケージ展や、商店街が出品するバザールなど。歌手のあがた森魚さんを迎え、青空音楽ライブ「懐かしの昭和歌謡」も。問い合わせは青梅赤塚不二夫会館(TEL0428・20・0355)。


人の心を物語る うれしさ
 大林宣彦さん(映画作家)
 尾道で撮影した「あの、夏の日−−とんでろ じいちゃん」という映画は、昔懐かしい田舎の物語だったから、ぜひにと久保さんに映画看板をお願いした。子どもの頃の絵日記に熱中していた日々を思い出した。写真やイラストは表紙として時代を表現するが、絵の具で描かれた看板は人の心の物語を伝えてくれるからうれしい。
 ■広島県生まれ。故郷・尾道を舞台に、映画を撮り続ける。代表作に「転校生」や「さびしんぼう」。今年2月、宮部みゆき原作の「理由」が公開された。


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