古本の街に30代が新風
「実は、神保町の古本屋の数は増えているんです」と話すのは、靖国通り沿いにある玉英堂書店の4代目、斎藤良太さん(33)。東京都古書籍商業協同組合によると、同地区で96年は136軒。現在では、161軒が営業しているという。
同通りの周辺に、これほどの新刊書店や古書店が立ち並ぶ「神田神保町の古書店街」。今の形に近づいたのは、明治の中ごろという。近くに東大の前身が誕生し、教科書や参考書を扱う本屋が次々とできて、今に至った。
街には、組合の市場が開かれる「東京古書会館」があるが、斎藤さんは「03年に会館がリニューアルオープンした前後で街が活気づき始めた」。老舗の後継ぎたちが、街の新店や他の街の書店と協力して新しい試みを始めたのだという。
今月中旬に開かれた一般向け即売会「アンダーグラウンドブック・カフェ」もその一つ。街の老舗(しにせ)、中野書店の中野智之さん(51)が企画し、斎藤さんも含め30代の4人が賛同して動いた。同会館の地下で、古書販売と期間限定のカフェ、評論家の坪内祐三さんら著名人のトークショーなどを開いた。通常の即売会では、本を積み上げて売るが、このイベントでは装丁も見せており、本が選びやすい。「街の古本屋と違って、女性や若者が多くて入りやすい」と、来場したフリーターの女性(20)が言うとおり、客層は20〜30代。通常の即売会の客が40代以降ということを考えると違いが際だつ。
イベントに参加する「かげろう文庫」の店主・佐藤龍さん(35)は古書店の社員から02年に独立。「学生時代から街に通っていたけれど、今、若い店主が増え、代替わりの時期だと感じます」
若い世代の試みを、靖国通りに店を構えて84年という「一誠堂書店」の店主・酒井健彦さん(59)は温かく見守る。「彼らを応援したい。本が売れない時代だとぼやく前に、頭を使って動いている。街のよさをいろんな世代に知ってもらいたい気持ちは同じですよ」。
(高田 舞)