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2005.11.10(木)更新 ストリートストーリー
 
たぬき通り  (東京・浅草)

 明治以前、浅草一帯には数多くのタヌキが生息していたそうだ。その名残という「たぬき通り」。本物のタヌキにお目にかかることはできないが、通りのそこかしこには12匹の「願かけたぬき」が鎮座している。

 
イラスト・久保庭華子
12匹に願かけて新名所

 「馬券を買いに行く人や、受験生がよくお参りしているわね。開運たぬきが人気なのよ」と、毎朝欠かさず願かけたぬきを磨く渡辺美津子さん(78)が教えてくれた。たぬき通りで4代続く「渡辺眼鏡店」を営む渡辺さんは、「戦前は仲見世通りまで続く目抜き通りで、それは華やかだったの」と振り返る。

 しかし、戦後の区画整理で通りは80メートルほどに短くなり、近隣の整備されたアーケードに客足は流れていった。すっかり寂れてしまった通りを立て直すべく、11年前にリニューアル。11基の街路灯の中ほどには、通りの名前にちなんだ「大黒たぬき」「夫婦たぬき」など、計12匹の願かけたぬきがまつられるようになった。

 浅草の新名所として徐々に浸透し、今では観光客の姿も増えた。「シャッターを押してあげましょうか?」と、カメラを構えるカップルに、甚平姿の男性が声を掛ける。人懐っこい笑顔に下町の人情を垣間見て、ほっと心が和む光景だ。浅草で人気の観光人力車も、たぬき通りを日に50〜60台行き交うという。3年間、人力車を引く車夫、俥(くるま)うたさん(27)は、「通る度に隠れた名店を発見します。お客さんにも人気ですが個人的にも大好きです。老舗(しにせ)が多く、浅草ならでは」と語る。

 毎月、願かけたぬきを参拝する人々に感謝を込めた縁日が開かれる。江戸時代のお茶屋のように、緋毛氈(ひもうせん)を敷いた床几(しょうぎ)で飲み物をいただく。2時間で500人もの人出があるのだそうだ。

 「縁日の日は必ず天候に恵まれるの。浅草寺の観音様に守られているのね」と、毎月「皆勤賞」で準備に奔走する町田文子さん(61)。「インターネットで何でも買える時代だけど、私たちは手渡しする対応を大切にしているのよ」と続けた。

 つくばエクスプレスの開通で訪れる人も増えた。3年ぶりに観光に来た、つくば市の高原強さん(29)は言う。「以前と変わらない雰囲気。また来る時まで保ち続けて欲しいです」 

(嶋津 智子)

  たぬきまつり

 12月4日(日)、午前11時〜午後4時。12月の縁日は、中でも一番にぎやかなお祭り。浅草演芸ホールの招待券など、豪華な景品が当たる「たぬきウルトラクイズ大会」や、組太鼓・津軽三味線の演奏、観光人力車の無料試乗など、楽しいイベントが盛りだくさん。けんちん汁に揚げ玉をトッピングした「たぬき汁」(先着1000人)の振る舞いも。小雨決行。問い合わせは実行委(03・3844・0354)。

  人力車で浅草観光

 一度は乗ってみたい観光人力車。浅草を知り尽くした車夫が見どころを案内してくれる「時代屋」(TEL03・3873・0290、http://www.asakusa-e.com)の人力車は、1人10分1000円から(30分コースは1人4500円、2人で6000円)。人気のコースは、雷門前の乗り場から「たぬき通り」「六区映画街」などを巡る「街中西コース」。今まで知らなかった浅草の一面が見られるかも。


たぬきの懐は深いなあ
 林家木久蔵さん(落語家)
 江戸っ子の私には浅草はふる里。演芸ホール出演の帰りには、大好きなたぬき通りをそぞろ歩き。たぬきの語呂は「他抜」にも通じる。「他を抜く」は芸人にとって精進の心構え。また、好きなたぬきそばは、ネタのない揚げ玉だけの「ネタぬき」そばから転化したもの。たぬきの懐は深いなあ。
 ■37年東京生まれ。日本テレビ系「笑点」にレギュラー出演中。エッセイスト、漫画家としても活躍中。


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