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2005.12.8(木)更新 ストリートストーリー
 
新橋西口通り  (東京・新橋)

 サラリーマンの街、新橋。気さくで飾らない、温かなこの街は、疲れた仕事帰りの人々をまるごと包み込むような懐の深さがある。ここでの帰宅前の「一杯」が、彼らの忙しい日々を支えているのかもしれない。

 
イラスト・岡澤香寿美
サラリーマン包む温かさ

 絶妙な白い泡の生ビール。ぐいっとのどに流し込む。「あー、今日も1日お疲れさん!

 これから、サラリーマンにとって「大事な時間」が始まる。

 新橋西口通りは7割以上が酒の飲める飲食店。一昔前は、銀座の半額と言われ、今も3千円あれば楽しめる。

 通りを入ってすぐ左、雑居ビルの地下にある「和風スナック忍」。午後9時過ぎ、演歌が緩やかに流れる小さな店内に2人連れの客が現れた。そのうちの1人、スーツ姿の50代男性は言う。「疲れていても、ここでは気兼ねしないでくつろげる。もうひとつの家みたいなもの」

 店のママ、松村徳子さん(58)は言う。「新橋はいいよ。かっこつけなくていい。お客さんと本音で語り合える」。仕事帰り、この「家」にふらりとやってくる客を「待ってたよ」、そう迎える松村さんの姿に温かさがにじむ。

 通勤途上でもないのに週2〜3回のペースで新橋に来てしまう。そんな会社員、伊佐龍寿さん(38)は、通りの奥にある「いいかげんや」の常連だ。

 伊佐さんは、カウンターで隣に座った客に「おつかれさま!」と声をかける。仕事、政治、スポーツ……いろいろな話をして酒を飲み、笑いあう。と、そこへガラッと扉が開いて、また新しい「仲間」が入ってきた。「おう! おつかれさま!」。伊佐さんの声が響く。「つらい時もここで救われた。ここでの人とのつながりがあるから、毎日がんばれるんです」。伊佐さんは、3杯目のビールをおかわりした。

 街のシンボルである駅前のSL広場が、来年3月末ごろ、きれいになって生まれ変わる。保水性ブロックを敷き詰め、都市熱の冷却効果もねらう。「汐留もいいけど、もっと若い人にも新橋に来て欲しい」。この改修事業にはそんな地元の人の思いも込められる。

 午後11時、西口通り前。ほろ酔いサラリーマン3人組と出会う。「よし、明日も頑張るか」。ちどり足の彼らは駅へ向かった。

(熊坂麻美)

  ビジネスシーンの新定番

 「切腹最中(もなか)」が人気だ。「忠臣蔵」ゆかりの屋敷跡に店を構えたことにちなんで作られたこのお菓子が、サラリーマンを中心にひそかなブームを呼んでいる。パックリ腹を切ったような最中の中に、たっぷりの甘さ控えめのあんと餅が。「お詫(わ)びの品に」「腹を割って話そうと会議中に」。それぞれ思いを込めて買っていく人が多いとか。確かな味で効果も大?1個178円〜。問い合わせは新正堂(03・3431・2512)。

  夢と幸運をこの手に

 宝くじ販売店の「スイートバジルエンジェル」(TEL03・3437・1383)。「ロト6」などを、数字にインスピレーションを感じながら楽しんでほしいという。テーブルやいすが並び、ゆったりした雰囲気。女性でも気軽に利用できる。スイートバジルの花言葉は「なんという幸運」。明るい未来へ続く幸運を、ここで手に入れたい。


日本の本音が聞ける街
 山本晋也さん(映画監督)
 新橋は60年代から知っているけど、庶民的な雰囲気はそのまま。安くてもつまみは絶品だし、貧乏学生の時はただで飲み食いさせてもらった。そして、ほろ酔いサラリーマンの本音が聞ける貴重な場所。サラリーマンの本音は日本の本音。こんな街ほかにないんじゃない?これからも変わらない、新橋は永久に不滅だよ。
 ■39年生まれ。テレビ、ラジオで活躍。「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日)、「金曜かきこみTV」(NHK)に出演中。


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