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2005.12.15(木)更新 ストリートストーリー
 
あずま通り  (東京・世田谷区)

 「演劇とロックの街、下北沢」。その中心、本多劇場とライブハウス「屋根裏」で始まるあずま通りには、役者と観客、そしてアーティストを見守る飲食店が立ち並ぶ。夜になると、若い熱気が満ちあふれる。

 
イラスト・岡澤香寿美
夢追い人支える飲食街

 自動車の入りにくい細い通りには、古着屋に雑貨屋が所狭しと並ぶ。それがシモキタだ。

 ところが、あずま通りは違う。物品販売の店がほとんどなく、あるのはぎっしり飲食店。演劇やライブが終わると、客の多くが吸い込まれていく。

 本多劇場のチーフ、大岩正弘さん(46)が教えてくれた。「芝居後、観客が舞台にいた役者と飲み屋でばったり会うこともあるんです」

 80年代前半に誕生した本多劇場は小劇場の先がけ的存在となる。少し遅れて現れた「屋根裏」は、ロックの登竜門となり、多くのバンドがここから世に出た。

 彼らが通っていた店のひとつが、創業41年の中華料理店「a亭(みんてい)」。ボリュームたっぷりのラーメンが人気で、昼も夜も満席だ。2代目店主の鮎澤寛之さん(41)は「ギターなどを持って入ってくるお客さんは多いですよ」。店には役者を目指しながら、アルバイトをしている若者もいる。

 四半世紀続く、焼き鳥屋「陣太鼓(づんでこ)」の「お父さん」、田口明さん(68)は「僕も『お母さん』も、音楽が好きでね。楽器を持っているお客さんを見つけると、つい話し込んじゃう」。

 これらの店の一部は取り壊しの対象になっている。下北沢駅の前にロータリーや道路を造る計画が、8年後の完成に向け動き出したのだ。

 あずま通りにも幅約20メートルの道路が横切ることになる。

 「街の雰囲気を守りたい」と計画に反対する動きもある。が一方で、「今のままの細い道では災害にあった時に逃げられない」などと店主たちの意見はさまざまだ。

 通りから少し離れた老舗(しにせ)ジャズバー「レディ・ジェーン」のオーナー・大木雄高さん(60)はこう話す。

 「大きな道路がなくても、今まで何も起こらなかった。ちゃんと主人の顔が見えて、会話が出来る店がなくなってしまったら、ほかの街と変わらなくなっちゃうよ」

(坂本悠子)

  41人の手形が大集合

 本多劇場の地下駐車場の一部に、吉永小百合、高倉健、石原裕次郎ら歴代スター41人の手形を展示。オーナーの本多一夫さんが譲り受けた品々を今年から一般公開している。午前10時〜午後7時。入場無料。

  地域密着型の演劇祭

 2月1日(水)〜28日(火)、来年で16回目を迎える地域に根ざした演劇祭「下北沢演劇祭」を開催。本多劇場や「劇」小劇場など8劇場が会場に。問い合わせは世田谷区北沢総合支所地域振興課(03・5478・8028)。

  貴重な街の映画館

  あずま通りから歩いて3分ほどのスズナリ横丁の一角。98年に「シネマ下北沢」として開設後、昨年「シネマアートン下北沢」の名でリニューアル。独立系映画や過去の名画などを見られる貴重な映画館。12月30日(金)まで美術監督特集。問い合わせは03・5452・1400、http://www.cinekita.co.jp


「出会い」のある場所です
 大森南朋さん(俳優)
 本当に飲み屋だらけですよね。観客として劇場に行った帰りに役者さんに会ったり、自分の公演後、お客さんに見つかったり。映画「ざわざわ下北沢」に出演できたのは、ロケハンしていた監督が、あまりに何度も出会う僕を「しょうがないな〜」って使ってくれたのがきっかけ。僕にとって「出会いのある場所」なんです。
 ■72年生まれ。ドラマ「恋の時間」(TBS)に出演中。映画「ゲルマニウムの夜」は12月17日より上野・一角座で上映。


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