安心できる憩いの場所
約800メートルの通りには食品や衣料品、雑貨に食堂など190店余が並ぶ。特に薬のチェーン店や漢方薬の店、せんべい屋が多い。「お年寄りは健康に良いものやおせんべいが好きだからね」と同商店街振興組合理事長の木崎茂雄さん(62)。
近年にぎわいをなくした商店街が増えるなか、ここは平日で人出は2万人。日曜・祝日は6万人、4、14、24日の4のつく縁日の日には8万人も訪れるという。
通りの中心は「とげぬき地蔵尊」の高岩寺だ。治したい所を布で清めると効果があるという洗い観音には順番待ちの列が絶えない。境内にあるベンチは数年前に、同寺が設置した。
午前10時過ぎ、ベンチは買ったばかりのお団子を食べたり話に花を咲かせたりする中高年の人たちでいっぱいになる。店先や郵便局の前など、通り沿いにはベンチが置いてあるところが多く、「滞留時間が長い商店街」というのもうなずける。
縁日には商店の前に200もの露店が並ぶ。玉こんにゃくや七味唐辛子、佃煮(つくだに)に婦人下着、かつらなど扱う品は様々だ。
同商店街は、83年から「歴史と文化を大切にした、ふれあいのある、人にやさしい街」を目指して、中高年向けの街づくりをしてきた。もともと年配の参拝客が多かったからだ。店の看板や商品の説明文は、英語やカタカナを使わず、なるべく漢字とひらがなだけにした。
「トイレあります」という札をかけ、お手洗いだけ貸してくれる店もそこここにあり、長い時間過ごしても安心できる。木崎さんは「用がなくても遠回りしても、ここを通りたいと思われる街にしたい」と話す。
ベンチで休憩していた60代の女性2人は「ここは年代が同じような人が多いから安心して歩けるのよ」と笑った。
通り沿いの店に洋服や浴衣を買いに来るという中南且紀さん(26)は「意外と若い人も多いんですよ」と教えてくれた。
(牧野 祥)