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2006.2.23(木)更新 ストリートストーリー
 
大日大門通り  (栃木・足利市)

 鎌倉時代の建物が残る鑁阿(ばんな)寺へと続く石畳の道。ゆっくりと観光客が歩く横を、そろばん教室に通う子供たちがにぎやかに走り抜けていく。栃木県足利市の大日大門通りには、歴史に名を残す誇りと、生活の場としての愛情が流れる。

 
イラスト・岡澤香寿美
誇りと愛情感じる石畳

 通りから入ってすぐの所に、日本最古の学校と言われる足利学校がある。ここを地元の人は親しみを込めて「学校様」と呼ぶ。そして大日如来をまつる鑁阿寺は「大日様」だ。いずれも国指定の史跡でありながら、人々の集う場所であり、子供の遊び場だった。

 1903年には学校様の敷地内に図書館ができた。「私が子供の頃には市内唯一の図書館だったから、毎日のように行って、木の下で本を読んだ」と近くに住む岡村賢治さん(75)は懐かしそうに振り返る。

 「学校様」の流れを受け継ぐ試みも続く。通り沿いの店には、論語を解説付きで紹介するポスターが毎月張られる。足利学校にまつられる孔子の教えを現代に伝えようと、足利を愛する市民の会「いしだたみの会」が作るものだ。

 学校には、読めない字や意味のわからない言葉などを紙に書いて枝に結んでおくと、ふりがなや注釈が付けられていたと伝わる字降(かなふり)松がある。今、松の横にはポストが設置され、さまざまな疑問を受け付け、職員が郵送で答えているそうだ。

 通りを歩くと、そこかしこに置かれている赤や青のカラフルな石に目がとまる。店の前にあったり、植木や建物の陰からのぞいていたり。

 猫や金魚など、鮮やかにペイントされた石は、甘味どころ「あまから家」のご主人田村源次郎さん(55)が中心になって作っている「石絵」。石に、アクリル絵の具で動物などの絵を描く。

 「石畳は、足元を見ながら歩く人が多い。そんなとき、ペンギンや犬がいたら楽しいかな、と思って」

 時間を見つけては店の前に座り、通りを行き交う人たちを見守りながら筆を走らせる。その様子を真剣に眺めていた小学生に、田村さんは魚を描いた石を手渡した。「赤い魚は、女の子のお守りだよ」。この石を見て足利を思い出し、またこの通りに足を運んでくれたら、こんなにうれしいことはない、そう言ってほほ笑んだ。

(中嶋麻喜)

  おしゃれな漆の店

 昨年6月、大日大門通りから足利学校へ入る通り沿いに開店した漆工房の店「くぼた」(TEL0284・44・0767)。
 漆器や織りなどの作家作品が並ぶ。オーナーの窪田香和さん(33)は、「市内は車がほとんどだけど、ここは落ち着いて歩く人が多い。観光客だけでなく地元の人が集まるのも魅力」。市の中心街が移り、以前の活気はないが、若い人が開く店が増え始めた。午前11時〜午後6時。(木)、第3(水)休み。

相田みつをの通った店

 83年までは旅館だっためん割烹(かっぽう)なか川(TEL0284・41・2322)は、同市出身の書家・相田みつをが足しげく通った店。店内には相田の作品が15点ほど飾られ、年に数回入れ替えられる。旅館時代の部屋札や現在も使われるはし袋など、ここだけの作品も。店長の中川知彦さん(33)は「はし袋を記念に持ち帰る方も多いです」。午前11時〜午後8時。(火)((祝)除く)休み。


歴史がつくる心地よさ
 古澤巌さん(バイオリニスト) 
 足利は昔栄えた土地柄、特別な心地よい空気があり、地震などの天災からも守られているような気がします。今年秋に10回目を開催する予定の、ライトアップされた足利学校での屋外公演は、この町に代々住み着いてきた人々の誇りと優しさから生まれました。
 ■59年生まれ。ジャンルは幅広い。4月15日(土)午後2時、5時、津田ホール(千駄ケ谷駅)でピアニスト高橋悠治さんと公演。


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