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2006.3.9(木)更新 ストリートストーリー
 
海岸通り  (神奈川・葉山町)

 風光明媚(ふうこうめいび)なドライブコースとして人気の神奈川県葉山町の森戸海岸線、通称「海岸通り」。葉山マリーナから御用邸までの約3.5キロは、カーブも多く道幅は狭い。一見不便に感じられるが、その狭さにこそ魅力が詰まっている。

 
イラスト・岡澤香寿美
狭き道に静かな豊かさ

 早春の葉山は、静けさに満ちている。相模湾を望む小さな漁港には、今が旬のワカメが潮風になびき、波の音が響く。御用邸や有名人の別荘があり、マリンスポーツが盛んという華やかさよりも、穏やかな時間が心地よい。

 「こんなに風景の変化に富む通りもほかにない。散歩中、ついあちこち寄り道してしまう」と、葉山に貢献する団体を支援するため活動している「NPO法人葉山まちづくり協会」代表の森田昌明さん(72)。海ひとつとっても、弓なりの美しい浜辺が続くかと思うと、ゴツゴツした岩肌の磯が現れる。天気が良ければ遠く富士山が海に浮かび、自然豊かな山々が振り返ればすぐ目の前だ。道沿いには、300年以上の歴史を持つ「日影茶屋」などの老舗(しにせ)が点在し、葉山ならではの食を楽しむこともできる。

 海岸通りの道幅は狭い。車同士のすれ違いには一瞬ひやりとする。夏季には車で渋滞になる。そんな通りの整備は1894年の御用邸の建設の頃に始まったといわれるが、車同士のすれ違いポイントを作る工事が行われる以外、100年以上たった現在でもあまり変わっていないという。「道を広くすれば交通量が増えて騒音問題も出てくる。住民は、穏やかな静かさを大切にしています。守っていきたいものです」と森田さん。

 鉄道が通っていない葉山町はバスが足として欠かせない。京浜急行バス逗子営業所で?年近く勤務する主任運転士の新倉章さん(59)も海岸通りが広くなることは望まない。「むしろあの細さが住人には便利ですよ。海にひょいと渡れる」

 バスは、路地から飛び出す人がいることを常に予測し、すぐに止まれるよう時速20キロ程度で走るという。対向車以外にも、住宅や店の軒先にも車体をひっかけないよう細心の注意を払う。その技術は先輩運転士から後輩へと引き継がれ今も健在だ。「真名瀬、芝崎からの眺めが一番気持ち良い。便利になるより、自然豊かで静かな葉山が好きです」。新倉さんは晴れやかに笑った。

(上林千紗子)

  老舗の味を楽しもう

 ★日影茶屋(TEL046・875・0014)。旅館だった風情ある建物が魅力。地元の食材を使った日本料理を。昼の松花堂弁当(3670円)など。いす席は午前11時半〜午後2時半、5時〜9時。(水)休み。要予約

 ★永楽家(TEL046・875・0315)。1909年創業の和菓子店。昔ながらの手法で手作りする、上品な味わいのあんを使った「あわび最中」(150円)など。午前9時〜午後5時。(水)、第4(木)休み。

 ★旭屋牛肉店(TEL0120・290024)。1901年創業。葉山牛と松阪牛を使った「葉山コロッケ」(63円)が有名。衣もサクサクの食感。午前9時半〜午後7時。(水)休み

森戸神社の伝統行事

 3月21日(火・祝)、午前11時から、神社境内(TEL046・875・6097)。「三三九手挟(さんさんくてばさみ)式」は、鎌倉時代から伝わる歩射の儀式。小笠原流一門による奉納。弓で矢を放ち、的中した板の的が割れて飛び散る豪快さが見どころ。無料。


遊び心くすぐる道
 石原良純さん(俳優) 
 葉山の海岸通りは、昔は避暑地のメインストリート、最近はマリンスポーツの道。今でも昔ながらの風情が残り、店先にビーチボールや麦わら帽子をつるして売っています。そして、若い頃の父・慎太郎や裕次郎叔父が遊んだ海でもあります。懐かしい味といえば、旭屋さんのコロッケかな。  
 ■62年、神奈川県逗子市生まれ。ドラマや舞台、バラエティーなどに数多く出演し、気象予報士としても活躍中。


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