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2006.3.16(木)更新 ストリートストーリー
 
雑式通り  (東京・麻布十番)

 東京・麻布十番商店街はキャッチフレーズに「微笑(ほほえ)みの街」を公募で選んだ。それから30年。笑顔でいられる街づくりを目指してきた。象徴の一つとなった「赤い靴」の少女像の前には、人々の温かい気持ちが寄せられている。

 
イラスト・岡澤香寿美
微笑み似合う街づくり

 大江戸線・麻布十番駅を出て、十番稲荷神社の前の交差点を渡り、「雑式(ぞうしき)通り」へ進む。豆菓子屋、せんべい屋……。どこか懐かしさ漂う店が並ぶ。流行の最先端、六本木ヒルズが目と鼻の先だとは思えない。

 「週末は大変な混雑だけど、普段はまだまだ静かで落ち着いてますよ」と近くに住む若い女性が焼きたてのたい焼きを抱え、笑顔で帰って行った。

 麻布十番通りとぶつかる所で、鮮やかな黄色の幾何学模様が印象的な像「太陽の微笑み」を見つけた。プレートにはベネズエラ共和国と書かれている。「微笑み」をテーマに周辺の大使館の協力で制作された像の一つで、商店街全部で12個ある。「親子」「時計」「スーツケース」など、「微笑み」から連想された個性あふれる作品が並ぶ。

 更に進むと石畳の広場の一角に、ほほえみを浮かべ、遠くを見つめる少女の像が立つ。童謡「赤い靴」のモデルになった「きみちゃん」の像だ。

 紳士洋品店「ローリエヤマモト」の山本仁寿さん(64)が商店街振興組合の広報部長をしていた時、「『赤い靴』とこの街は関係があるらしい」と住民から聞かされた。調べてみると、少女が外国に渡ることなく麻布十番の孤児院で9歳の生涯を閉じていたことがわかった。ゆかりの地に何か記念になるものを造りたいと思った商店街の人たちの働きかけで89年、多目的広場「パティオ十番」に像が造られた。しかし、それで終わりではなかった。

 「像が出来たその日の夕方に、誰かがきみちゃんの足元に18円置いていったんです」。そこから始まった小さなチャリティーの輪は途切れることなく続き、間もなく1千万円に達する。ユニセフなどに全額寄付されている。「1千万は一つの区切りだけど、終わりじゃない。これからも世界の子どもたちのために役立つことができればいいなぁ」。店のガラス越しに見える「きみちゃん」を見つめて山本さんはほほえんだ。

(植田詩生)

  受け継がれる豆菓子の味

 1865年創業の豆源本店(TEL0120・410413)は、豆菓子、せんべいなど100種類以上の菓子がそろう。一番人気は「あおのり」「きざみのり」「えび」の3種類からなる「おとぼけ豆」(135グラム、315円)。ごま油で揚げて塩をふった「塩おかき」(135グラム、368円から)の実演販売も人気。豆かん(368円)など本店限定商品も。午前10時〜午後8時。(火)に不定休。

福沢諭吉の菩提寺(ぼだいじ)

 麻布山善福寺(TEL03・3451・7402)は、824年、弘法大師によって創建されたと伝えられる。幕末に初代アメリカ公使館が置かれ、公使タウンゼント・ハリスらが居住したことでも知られる。福沢諭吉の墓もある。境内には「愛の讃歌」の詞を刻んだ越路吹雪の記念碑や、国の天然記念物に指定されている樹齢750年以上という巨木「逆さイチョウ」も。


ここは私のエネルギー源
 LiLiCoさん(映画コメンテーター) 
 私にとってのエネルギー源であり、毎日の出発点とゴールとも言えるかしら。一日の仕事や海外から戻るだけでホッとする。信頼する温かい仲間がいて、商店街を通って行くことも多い。そこには笑顔と明るいあいさつが飛び交う、大都会のド真ん中の優しさあふれる下町がある。まじで離れられない……。  
 ■スウェーデン生まれ。17歳で初来日。「王様のブランチ」(TBS)出演のほか、ラジオや文筆活動なども。


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