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2009.1.13(火)更新  日本ふるさと食談議/カキの土手鍋(広島県)
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カキの土手鍋(広島県)

みそで引き立つ うまみ 日本ふるさと食談議
カキの土手鍋
 
 カキと一緒に野菜や豆腐、シイタケなどを煮込んだみそ味の鍋料理。名の由来は諸説あるが、一般的には鍋のふちにみそを土手のようにぬり、崩しながら味加減するため「土手鍋」と呼ばれているという。広島県はカキの生産量全国一を誇る。
 
 ぐつぐつと煮える鍋から湯気とみその香りが立ちのぼる。カキの身がふっくらし、つやがでてきたら食べごろだ。口の中で独特のうまみがじゅっと飛び出し、みその味とからみ合う。

 広島市出身の団体職員、竹本直さん(66)は、冷酒片手にカキをよそう。小さい頃から身近な食べ物だったが、「うまい」と思ったのはずっと後になってから。「土手鍋には酒があう。まさに大人の味覚だね」と笑う。

 「子どもの頃、友達と遊んでいてカキ筏(いかだ)から突き落とされてね。昔はカキ特有のにおい、苦手だったな」と話すのは、同市出身で東京広島県人会広報部長の松島和夫さん(69)。今では生ガキや酢ガキが好物。毎年正月の雑煮にはカキを入れる。「でも手軽で体があったまるのは土手鍋。みそで煮込むから、カキのにおいがだめな人でもいける」

 二人がカキ談議を交わした東京・銀座のカキ料理店「銀座 かなわ」の土手鍋は、あえて鍋のふちにみそで土手を作らない。みそが焦げて鍋の味を損なわないように、という配慮からだ。

 「広島のカキは、水温が下がると身が締まって味が濃厚になる。11月〜3月半ばが旬ですね」と総料理長の植木武さん(36)。広島の本店では、古くからのカキ養殖の歴史を今に伝える「カキ船」で客をもてなす。静かな川面を眺めながら旬の味を楽しむのも、風情ある冬の風物詩という。


 「土手鍋のだいご味は雑炊にある」。竹本さんと松島さんは口をそろえる。カキと野菜、キノコ類のだしがたっぷりとけ込んだ雑炊は、とろりとして、こくがある。寒い季節、体を温め、栄養満点とあって、冬場は店で最も人気があるという。
 

鍋を囲む竹本直さん(左)、松島和夫さん(中央)、亀本健介さん
【銀座 かなわ】
 東京都中央区銀座5の2の1、東芝ビル地下2階(銀座駅、TEL03・3572・2325)。午前11時半〜午後2時半((土)(祝)は4時まで)、5時〜9時((土)(祝)は8時)ラストオーダー。(日)は午後4時〜8時ラストオーダー(4月〜10月は休み)。カキの土手鍋3000円(1人前)など。

 広島県の食と観光の問い合わせは、TEL広島ゆめてらす(03・5354・3206)。

 
(2009年1月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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