「ほらここ、色が変わってきたでしょ。ここがうまいんですよ」。ジジジという音とともに香ばしいにおいが立ち込める店内。岐阜県東京事務所の笠原孝一さん(52)がはしで示した先には、朴葉の上にこんもりと盛られたみその縁が焦げだしていた。刻んだネギとシイタケが混じる。「これだけで何杯だってご飯が食べられるんですよ」
店で使う20センチを超える朴葉は、オーナーの仲谷丈吾さん(28)の実家の旧神岡町(飛騨市)で知り合いが山で拾って送ってくれる。ホオノキが自生する山で、子どものころに友人と拾い集めたこともある。
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殺菌作用のある朴の葉は、おにぎりを包んだり、餅を挟んで焼いたり、朴葉ずしにしたりと飛騨の食に欠かせない。
それに大きな葉はフライパンにもなる。笠原さんはいう。「1月とか2月の寒い時期やとね、漬物が凍っとるんですよ。それを載せてね」。温めて、人によっては焦がして食べる。焼くのは、漬物の発酵が進み酸っぱくなっても食べやすくする生活の知恵なのだとか。今は「漬けものステーキ」として、高山市内の居酒屋の定番メニューで、鉄板で焼く。
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「みそって何でも合うやないですか」と笠原さんが言えば、「うちの店にもみその料理が多いですね」と仲谷さん。みそ汁はもちろん、そのまま食べたり、野菜を煮たりいためたり、おでんにつけたりと、みそはそれぞれの家庭の味だ。
実家の高山市でも自家製みそを造っていた笠原さんにとって朴葉みそは、みそのおいしい食べ方の一つ。東京に来て2年目を迎えた。「大人になって分かるんですよ。どれだけ普段、みそを食べていたかってね」