「明日、ずんだを作ろう」。そんな会話を交わした翌朝、自宅の畑に出て枝豆を収穫し、すぐに調理に取りかかる。少し前まで畑にあった枝豆が、ずんだ餅として朝の食卓に並んだ。
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ゆでた枝豆をさやから取り出して薄皮を取り除き、熱いうちにすりつぶす。「手伝ってみて、随分手間がかかるんだなあと思いました」と会社員の和田麻子さん(27)。「そう、一粒ずつ枝豆を取り出していくんです。祖母が作る夏のごちそうでした」と会社員の庄司由美さん(32)も振り返る。
高校まで仙台で過ごした二人にとって、すり鉢は「枝豆をすりつぶす道具」、鮮やかな黄緑を「ずんだ色」と呼ぶほど、ずんだ餅は身近な存在だった。
そのおいしさと文化を広めたいと、仙台銘菓「萩の月」で知られる菓子メーカー・菓匠三全が、04年にずんだ餅の専門店「ずんだ茶寮」を東京に出した。
枝豆の鮮やかな色、青々とした香りを保つには――。枝豆が最もおいしい時期はわずか4日ほど。畑から収穫したと同時に風味は失われていく。同社常務の田中正人さん(61)は、材料の成分を数値化し、枝豆の新鮮さが味を左右するという結論に至った。「なぜ早朝だったのか。家庭で当たり前に繰り返されてきたことには、訳があるんですね」
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13年前からずんだ餅の商品開発に携わる田中さんが「かなわない」と絶賛するのは、家庭で作られるずんだ餅。祖母が孫のために、親が子のためにと、手と舌に記憶されて受け継がれていく味だ。「あの人に食べてもらいたい」。そんな思いが、何よりも大切なスパイスになる。
=おわり