バレエと社交ダンス
12年前、映画「Shall we ダンス?」に出演したとき、社交ダンスを習った。
同じ「踊り」でも、バレエと社交ダンスは全く別物だ。何が違うかと言えば、「靴」が違う。そんなの当たり前だと言われそうだが、「靴」の違いは、動きの違いそのものに関(かか)わる重要なことなのだ。
稽古(けいこ)を始めて1カ月が過ぎたころ、頭ではわかっているつもりでも、なかなかうまくゆかない。「なぜできないのか」と身体の使い方を一つ一つ分析しているうちに、突然、先生が思いもよらぬ指摘をなさった。
「あの、社交ダンスでは、膝(ひざ)は伸ばしきらないんですけど」
衝撃的な驚きだった。大げさではなく。
子どもの頃から、「膝を伸ばしなさい!」と言われ続けてきた私には、想像の範囲を超えることでもあった。バレエでは、膝も、足首も、伸ばしきらなければ、トーシューズで立つことはできないのだ。
つま先立ちのバレエでは、動きの支点がつま先になるが、社交ダンスの場合は、ほんの1センチ角のハイヒールの踵も動きの支点となる。だから、足の付け根や膝、足首の関節を自由にして、つま先から踵、あるいは、踵からつま先というように、重心を移動させながら踊ってゆく。「膝は入れないで」と、何度も言われたが、それが「膝を伸ばさないで」という意味だったとは。
9月14日、トップレベルの競技ダンサーたちによるダンスパフォーマンス、「フロア・プレイ」を観た。高い技術や表現力、そして、ダンサーたちのパワー。どれをとっても、観る者を圧倒する迫力あるものだった。社交ダンスの進化形を示し、その魅力を最大限に引き出した、素晴らしいダンスの瞬間だった。
|
このコラムの感想を送る
|