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題字・イラスト 井沢洋二
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&x士山を1度も登らぬバカ、2度、登るバカなんてことを言う。
僕は先日、4回目の富士登頂を果たした。
富士登山は、健康のバロメーターにもなる。
前回は5年前、僕は富士山など朝飯前と軽い気持ちで山を登り始めた。ところが、出るわ出るわ、額に浮いた汗は流れて首に巻いたタオルを濡(ぬ)らし、Tシャツもパンツも池に落ちたほど濡れていた。急激な発汗は体の変調を知らせる危険信号。僕は、日頃の不摂生を富士の麓(ふもと)で反省した。
今回はテレビの生特番で、突然、降って湧(わ)いたような富士登山。それでも、年初めから続けているジョギングの成果が生かされ、快調に歩みを進めることができた。
登山の模様は、番組で生中継される。僕と局アナの2人ぽっちのために、約百人ものスタッフが、富士山の麓から山頂まで中継の準備をしているのは、とにかく全力を尽くす富士登山と共通しているのだ。
あたりが明るくなった頃、7合目の山口山荘に到着した。上がりかけた小雨に、雨ガッパを脱ぐべきか思案している僕に、山小屋のおじさんがアドバイスしてくれた。
「箱根の山の真ん中に、芦ノ湖の湖面が見えた朝は、天気が下り坂」
なるほど、足もとの黒い凸凹の山並みに、銀色の湖面が見える。悪天候をもたらす温かく湿った空気が光を屈折させ、普段は見えぬ湖面を出現させるのだろう。おじさんから、もう一つアドバイス。
「富士山の天気は、1とき、7たび、ひに3ど」
富士山では、1時間に7回も天気がクルクルと変わることが、1日のうちに3度もあるのだそうだ。
果たして大粒の雨は叩(たた)きつけるわ、大風は吹くわ、その後の天候は大荒れ。最後には吹き飛ばされぬように這(は)いつくばって山頂を極めたが、あたりはすっぽり深い霧に覆われて何も見えやしなかった。
僕の4回の登頂のうち、天気は今日の荒天で2勝2敗。次はスパっと快晴の青空の下、富士山を登りたいものだ。
僕はすっかり≠T度、登るバカを決めこんでいる。