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2006.8.2(水)更新  石原良純のあした天気に
石原良純のあした天気に
蝉が独りで鳴いていた
題字・イラスト  井沢洋二
 ミーン、ミーン、ミンミー……。

 「何だよ、俺(おれ)だけかよ」。仲間がいないことに気がついたミンミンゼミは愚痴っているに違いない。

 「プールにも行けないし、つまんないなぁ〜」。空を見上げて小学生が呟(つぶや)く。

 「土日だけでも傘マーク、取ってくれない」。僕の顔を見て売店のおばさんが嘆く。天気予報に傘マークを見つけると人は外出を控え、売店の売り上げはガタ落ちするのだそうだ。

 「なんだ、涼しいじゃん」。ジョギング中の僕は、頬(ほお)に当たる風が思いのほか涼やかなのに驚いた。

 梅雨明けしない夏休みの公園の朝の景色は、いつもと違う。

 £n球温暖化が進めば、梅雨明けは8月にという記事が新聞に載っていた。

 二酸化炭素濃度が2倍になる100年後の地球の姿を、気象研究所がシミュレーションしたのだ。

 温暖化が進むと太平洋高気圧が日本の南で強まる。その一方、偏西風の蛇行によって北のオホーツク海高気圧も勢力を増す。北の高気圧と南の高気圧が日本の空でガップリ℃lつを組み、関東の平年で7月20日、最も遅い東北北部でも7月27日の梅雨明けが、100年後には8月になるというのだ。

 冷たい空気と暖かい空気がぶつかって前線の活動も活発になる。特に、南の高気圧の西端を回り込む西日本では、湿った暖かい空気が前線に流れ込み、梅雨時の降水量は5割近く増えるという。

 あれっ、これって今年の空模様と似ていませんか。

 ≠P00年後には平均気温が最大で5・8度。海水面が最大で88センチ上昇する

 これは、地球温暖化の解説で、よく登場する文言。でも、100年後に僕は生きていない。東京が南九州の気候になると言われてもピンとこない。

 そんなことよりも、今年の豪雨、昨冬の豪雪。100年待つまでもなく自然は人間に厳しくなってきていることを誰もが実感しているはずだ。

 ミーン、ミーン。ガシガシガシ。夏の朝は蝉(せみ)の大合唱にかぎる。

 今できることを、一人ひとり真剣に考えなくては。

いしはら・よしずみ 俳優・気象予報士。62年神奈川生まれ。84年デビュー。舞台、映画、テレビで活躍中。97年気象予報士に。「FNNスーパーニュース」でお天気キャスターを担当。

(2006年8月2日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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